君が嫌いで…好きでした
震えが止まらない
フラフラする
意識もどこかに飛んでいるみたいに何も考えられない
お父さん…お母さん…おじいちゃん…おばちゃん…楓…真琴…伊藤先生…チョコ…
私の周りでどれだけの人が死んだ?
信じていたのに…伊藤先生だって違う未来が待ってるって言ってくれたのに…
今の貴方は私に笑いかけるどころかその瞳に映ることも出来ない
ふらつく足で壁にぶつかりながら階段を上っていく
なんでかな…奏叶との思いでばかり思い出す
奏叶が死んでしまえばまた全てが思い出になってしまう
そんなの耐えられない
辿り着いた屋上のドアを開けると強い風が吹いた
千菜「奏叶…」
涙が止まらない。涙が風に流れて頬を伝う
奏叶はまだ死んでない
奏叶だけは死なせない
私を暗闇から連れ出して私なんかを好きだと言ってくれた優しい人なの
だから――――…
―――奏叶の病室
湊「千菜…?」
気付いたら入り口に居たはずの千菜の姿がなかった
どこに行った…?俺ですら取り乱したんだ
あいつが耐えられるわけがねぇ
どこがで泣いているはず…
……なんでだ…なんでこんなに引っ掛かる
千菜が居ないことが…凄く…嫌な予感がする
本当に何処に行った?
湊「千菜…!!」
俺は病室を飛び出して千菜を探す
廊下には居ねぇ…どこ行った!
俺があいつだったら何考える?
湊「…まさかあいつ…!!」
俺は急いで階段をかけ上がった
――――…屋上の淵に立つとさっきよりも風を強く感じた
私のせいで奏叶まで死なせない
奏叶だけは助けたい
神様…居るならどうか奏叶を助けて
私が代わりに死ぬから…奏叶を連れていかないで…
千菜「…奏叶…生きて…」
バンっ…!
屋上のドアを開けた湊の目に映ったのは…屋上から身を投げ出した千菜の後ろ姿だった
湊「…っ千菜ぁ!!!」
湊の声は空に吸い込まれ、千菜はそのまま屋上から姿を消した…