君が嫌いで…好きでした

楓の言葉に動揺した
生きてるってどうゆうこと?
そんなわけない。だって皆がここにいるってことは私も死んだってことでしょ?


伊藤「東、今お前は簡単に言えば生死の狭間をさ迷ってる」


千菜「生死の狭間…?」


伊藤「そう。ちょうど俺達が立っているこの辺があの世との狭間になってる。ここに足を踏み入れたら2度と向こうには戻れない。本当に死んでしまう」


真琴「俺達は千菜に死んでほしくない。だから来ないで。戻るんだ」


楓「千菜は向こうで生きるんだ」


生きる…?ここを戻ったら私は生きることが出来るの…?

だけど頭に過ったのは病院のベットの上で眠ったように動かない痛々しい奏叶の姿

そしたら奏叶はどうなるの?
奏叶を助けたくて私の代わりに生きていて欲しかったから身を投げたのに…私が生きていたら奏叶は本当に死んでしまうでしょ?

奏叶を失いたくはない
これ以上辛い思いはしたくないの…!



千菜「嫌!私はもう…死にたいの!」


私が居なければ奏叶は生きられる…
だから生き返りたくなんてない


千菜「…皆と一緒に居させてよ…」


ぐちゃぐちゃで分からない
ただ怖い…



真琴「………」



楓「待て真琴。気持ちは分かるけど境界線を出るな」



真琴「…泣いているあいつを俺はほっとけないです。許して下さい楓さん」



楓の忠告を無視して境界線を越えて千菜に近寄るそっと触れる真琴


久しぶりに近くで見た真琴の顔はあの頃と変わらない…大好きな笑顔…


真琴「泣かないで。俺にとって千菜は希望なんだよ」


千菜「希望……?」


真琴「俺は千菜に生きていてほしい。千菜を守れて俺は嬉しかった」



千菜「真琴…」



伊藤「たく…そんなに目を腫らして七瀬が心配するぞ」



気付けば伊藤先生も境界線を越えて私の近くに来ていた


伊藤「東言っただろ?お前らには新しい未来が待ってる。絶望なんかじゃない。東が望んだ未来が待ってる。逃げないでちゃんと向き合えよ」



千菜「先生…」



楓「全く妬けちゃうね。昔は俺の後ばかり着いてきてたのに…いつの間にか千菜の周りにはこんなに助けてくれる人が居たんだね」



千菜「楓…」



楓「千菜。1度後悔したならこれ以上後悔するようなこと繰り返さないで。千菜が本当に思っていることを言っていいんだ
それでも死にたいって言うなら俺達はそれを受け入れる

でも本当にそれでいいの?」


私が…本当に思っていること…
恐怖と不安とずっと葛藤してる
私さえ死ねば全てが丸く治まると思ってた

だけど今になって…揺らいでしまうなんて…
望んでいいの?願っていいの?



奏叶と一緒に居られる未来を本当に…



千菜「ぅ…生きたい…っ…奏叶と一緒に居たい…」



やっと…自分の本当の気持ちを言うことができた




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