君が嫌いで…好きでした

失ったものはあまりにも大きい
だけどその分心に残っているものも大きいのだと気づく

悩んで泣いて苦しくて辛くて…
だけど太陽のように私を優しく暖かく包んでくれる皆が…本当に大好きだよ

奏叶…会って伝えたい
貴方が私にくれた大きな奇跡をかけがえのない時間を
だから…私と一緒に生きて…




――――…意識が遠退いたと思ったら遠くで何かの話し声や音がする
そして…何だか優しい暖かさを感じる

ここはどこだろう…


ゆっくりと目を開けるととても眩しく感じた
眩しすぎてここがどこなのかよく分からない。それになんでかな…体が上手く動かせない…


眩しさに慣れるとようやく目を開けることができた
白い天井…眩しく感じたのは蛍光灯の光だったんだ…それにこの独特の匂い…それに継続的に鳴る機械音

ここは病院……?
って事は私は生きてるんだ…


「…………千菜…?」



聞き覚えのある懐かしい…私の大好きな声
今にも泣きそうな顔で私の顔を除き混んできた

伊藤先生の言ってた通りだね…
違う未来が待ってたみたい…


奏叶「良かった…千菜…!」


ついには泣き出した奏叶


ずっと手を握っててくれたの…?
ごめんね…握り返してあげたいのに体に力が入らない
奏叶って呼びたいのに声もでない

だけど少し笑うことが出来た
私が笑うと奏叶もつられたように泣きながら笑った


私の目からも涙が出た
奏叶が生きていてくれて良かった…


奏叶ともう一度会うことが出来て…本当に良かった…



先生「奇跡としか言えません。意識が戻る可能性の方が少なかった…きっと神様が守ってくれたんですね」


病院の先生はそう言った
どうやら私は1週間も意識が戻らなかったらしい


そして湊や凜ちゃん、鈴村先生がお見舞いに来てくれて聞いた話だと私が屋上から飛び降りて運ばれた数時間後に奏叶の意識が戻ったらしい

意識が戻って私の事を聞いた時酷く自分を責めたって…傷だらけの体を無理に動かしてずっと私の側に居てくれたって…

看護師さんはそれが奇跡を起こしてくれたんだって笑って言った


湊にはこっぴどく怒られてしまった
酷く心配さてしまったようで怒っていたかと思ったら急に泣き出して私の無事を喜んでくれた

色んな人に心配かけて迷惑かけてしまった
私が今出来るのは…この人達の為に一生懸命生きることだと思う


手に暖かい感触を感じる
大好きな奏叶の手だ…


奏叶「おかえり千菜」



"ただいま…"


上手く喋れなくて口がパクパク動くだけだけと…奏叶には私の声が届いたのか優しく笑った

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