君が嫌いで…好きでした



事故から1か月があっという間に過ぎた
毎日奏叶と一緒に辛いリハビリを必死に頑張った

そしてようやく退院する日がやって来た



奏叶・千菜「ありがとうございました」


病院の入り口でお世話になった先生や看護師さん達に深く頭を下げて私達は手を繋いで病院を出た


久しぶりに見た外の世界は今まで見たことないくらい輝いて見えた


奏叶「やっと退院出来た」


千菜「…奏叶」


奏叶「ん?」


千菜「…私達…生きてるんだね…」


空を見上げるとあの時の不思議な夢を思い出す
皆が…ずっと守っててくれたんだね…


奏叶「うん。生きてる」


何故か涙が溢れた


"千菜俺と付き合って"


あの雪の降る日に声をかけてくれた君
あの時は何も知らなくて知りたくもなかった
弱くて…怖くて…1人で居たくて…なのにうっとおしいくらい話しかけてくれて、酷いことを言う私に優しく笑いかけてくれた

今までそんな事してくれる人が居なかったから戸惑った。嫌いだった
傷つけたくないのに君は何度だって笑いかけてくれた
そんな暖かい君の笑顔に徐々に心が揺れていった

そしていつの間にか君を好きになった
だけど好きになったから余計苦しかった
恐怖や不安に何度も潰されそうだった
なのに君はその笑顔を絶対に絶やさなかった

不安がありながらも君と過ごす時間は幸せだった

君の暖かさに初めて気付いた
今こうして君の隣に居られることが一番幸せなんだと思い出す


笑って泣いて苦しくて…限りある日々の中を、進んでいく時間を私はどれだけ大切に出来るんだろう
だけど…君がいればこれから続く未来はきっと輝いているんだろうなってそう信じられる

そして…君にちゃんと伝えなきゃいけない
私の言葉で……


湊「あれ、もう出てきてたのか」


奏叶「湊!なんだよ、わざわざ迎えに来てくれたのか?」


湊「まぁな…色々あってどうなるかと思ったけど最悪の結末にならなくて良かったよ」



奏叶「悪かったな。心配かけて」



湊「千菜もおかえり。もう大丈夫なのか?」



千菜「うん平気…ありがとう湊…」



奏叶「それよりその2人は?」



湊の隣には2人の女の子
見覚えがある…名前は知らないけど同じクラスの人…私の噂で誰も近づかないのにどうしてここに…?


湊「あぁ…どうしても来たいって言うからさ」



「……東さん…」



千菜「私……?」




クラスの女の子がわざわざこんな所に…しかも私に何の用なんだろう…


だけど女の子の1人がとった行動は思いがけないものだった


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