君が嫌いで…好きでした
「ごめんなさい…っ!」
深く頭を下げて謝る女の子
思いがけない行動に私は戸惑い、思わず情けない声が出た
千菜「え…?」
「東さんが飛び降りたって聞いた時やっと自分が間違ってた事に気付いたの!下らない噂に流されて東さんを傷つけて…!ずっと苦しかったよね…」
なに…?
「東さんも何も言わないのも悪いけど、ただ噂を丸のみにして信じてた私達も馬鹿だった。ごめんなさい」
私に謝ってくれる2人…
これは一体どうゆうことなんだろう…
隣に居る奏叶も少し驚いているみたいだった
そんな私達を見て湊が教えてくれた
湊「前に話しただろ?噂から千菜を庇ってくれた奴等」
「奴等って失礼ね。私は思ったことを言っただけ。何も知らないのにあんな風に言われたらムカつくじゃない」
この2人が私を庇ってくれた…?
「私、瀬田汐莉(せだ しおり)!ずっと東さんと話してみたかったの!」
「私は三津田綾乃(みつだ あやの)」
汐莉「良かったら友達になりたいんだけど…やっぱり都合いいかな…」
友達に…
私の事を気にかけてくれる人がいたんだ
こんな風に手を差し出してくれる人がいたんだ
止まったはずの涙がまた溢れ出た
1人でも平気だと思ってた
だけど私はただ強がってただけだった
本当は誰よりも寂しがり屋だったんだ
千菜「…ぅん…ありがとう…」
汐莉の差し出してくれた手を握るととても暖かかった
綾乃「…なんで汐莉まで泣いてるの」
汐莉「ぅっ…だって東さんが泣いてるから…」
会って間もないけど汐莉は優しい子なんだと思った
綾乃も優しく笑う人なんだな
嬉しい…こんな事全然想像出来なかった
千菜「…千菜でいいよ」
だから素直に笑えたの
ふと隣の奏叶を見ると優しく笑っていた
伊藤先生って何者…?
こんな未来を知ってたなんて…
あの時死んでたら…皆が守ってくれなかったら知らなかった未来
ねぇ…今凄く世界が輝いて見えるよ
湊「んじゃそろそろ行くか!」
綾乃「2人の退院祝い」
汐莉「思いっきり遊ぼう!」
歩き出す3人
だけど立ち止まる私を奏叶は不思議そうに除き混んできた
奏叶「千菜?どうしたの。行かないの?」
千菜「…奏叶、私を見つけてくれて…ありがとう」
やっと…奏叶に伝えることが出来た
奏叶が居てくれて…本当に良かった
千菜「大好き」
自然とその言葉が出た
奏叶は少し顔を赤くしていた
そんな奏叶も愛おしく感じる
湊「おーい!何してんだよ!」
汐莉「置いていっちゃうよー!」
3人が少し先で手を振って待っている
奏叶は私の手をとって大好きな笑顔を向けてくれた
奏叶「行こう!」
千菜「うん…!」
奏叶と歩む未来はきっと暖かく輝いているんだろうな…
*END*