君が嫌いで…好きでした
恋心

次の日、いつものように同じ朝が来た

カーテンを開けて窓を開けた


まだ少し寒い風があたる
でも外は雪がほとんど溶けていて空は青く太陽が輝いていた


こんな風に落ち着いた気持ちで朝を迎えるのは久しぶり…


いつもただただ憂鬱だったから…
七瀬奏叶のおかげなのかな…



心がいつもより軽い気がする
今日は今までとは違う1日が始まる…そんな予感がした


私は制服に腕を通してチョコに行ってきますをして学校に向かった


だけど…まさか学校に着いてあんな事が起きてしまうなんて…


学校に入ると突き刺さるような視線を感じた
そして私を見てはこそこそと話し出す人達…


いつもと同じ…
別に気にすることない…

だけどふと聞こえてしまった



「なんで平気で学校来れんの?神経可笑しくない?」


「あいつのせいであんな事になったのに…
マジ、ふざけんなよ」



いつもより冷たく突き刺さってくる言葉



ううん…そんなの気にしない
だけどあんな事って…?


教室につくまですれ違う人達は私を見てはすごい恨みのこもったような表情で口々に何かを話していた


そして教室に入っても皆は私を見て怒りのこもったような表情で見ていた


なに…なんなの…?


そして教室を見渡すと教室の一角で人だかりが出来ていた
そこで初めて皆の視線の意味が分かった


「奏叶大丈夫なの?」


「うわっ痛そう…」



千菜「…う…そ…」



言葉を失った
そして自分の中で血の気が引いていくのが分かった


人だかりの中心には右腕に三角巾をして腕を固定している七瀬奏叶の姿があった


頭が真っ白になって言葉も出てこない


だって…この状況はなに…?
誰か私に教えて……


私の手から鞄がドサッと落ちた
その音に数人が私の存在に気付いた

そして七瀬奏叶とよく一緒に居る男の子が私の方に歩いてきた


奏叶「千菜…!?湊何する気だよ…!」



湊「お前のせいだ…お前何考えてんだよ
かなに何してんだよ!
お前がかなに近付かなきゃかなはこんな怪我しなくてすんだんだ!」


その人の言葉がぐっと突き刺さってくる

何…これ…胸が苦しい……


湊「一歩間違えばかなは死んでたかもしんねぇんだぞ!この人殺し!」


人殺し…


―――…ねぇ知ってる?
東 千菜と関わると死んじゃうんだって…


それが私の噂…
人殺しと言われるまで広まってしまった私の噂…



奏叶「湊やめろよ!!
千菜のせいじゃない!千菜は何も関係ない!」



……あぁ…罰が当たったんだ
やっぱり私の考えが甘かった

私は…誰とも関わっちゃいけなかった…



千菜「…いで……」



奏叶「千菜…?」



千菜「もう…私に関わらないで!!」


私は七瀬奏叶にそう言い放って教室を飛び出した
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