君が嫌いで…好きでした

奏叶も同じ事思ったんだ…


誰だって大切な誰かを失うのは怖い…
だから…逃げてしまう

だけど逃げる事でまた誰かを傷つけてしまう
1人だと分からなかった事が今は分かる気がする…



千菜「…湊だったっけ…?ありがとう…」


嫌われてたと思ってた
でも謝ってくれて自分の事も話してくれた…


また…新しい繋がりが出来た


湊「…礼言われるような事してねぇし…
あと、名前しっかり覚えろよ……友達だろ…」



友達…


まさかそんな風に言ってくれるなんて思わなかった

顔を少し赤らめて怒ったような顔してる
……不器用な人なんだな


湊「だぁー!なんかムカつく!
まさかこいつと友達になるとか俺、頭可笑しいんじゃね!?」



奏叶「そうか?俺は嬉しいけどな♪

湊、俺の事心配してくれてありがとな
千菜も湊の事許してくれてありがと」



私はただ首を横に振った



湊「…はぁ…何だか疲れた
そいや全力で走ってたわ」


奏叶「ははっ、それはお疲れさん
お前この後どうするんだよ
授業戻るのか?」



湊「いやー無理無理、サボる
疲れたからここでしばらく寝てる
お前らはどうするんだよ」



奏叶「授業には戻らないけど俺達は行く場所があるから」



え…行く場所…?
それってどこ…?



湊「あっそ…勝手に行ってこいよ」



奏叶「今日暖かいからってこんな所で寝て風邪引くなよ~
ま、馬鹿は風邪引かないって言うけどね~

ほら、千菜行こう?」



奏叶はためらうことなく私に手を差し出してきた



湊「…一言余計なんだよかなは

東!かなの事傷付けたら許さねぇからな
それだけ覚えておけよ」



千菜「…分かった」



私は奏叶の手に自分の手を重ねた


………バタン…



湊「…あーあ…俺こんなキャラだったっけ…」



―――…繋いだ手から伝わる温度
君の温もり…


さっきまで学校の中に居るのが窮屈で苦しくて仕方なかった
だけど今は平気

それはきっと奏叶が居るから…

本当…こんな事になるなんて思いもしなかった


最初は君の事が大嫌いだった
馴れ馴れしいし意味わからなくて…

でもね…今は君の事を知る度に…
君に近づく度に好きになっていくの

こんなのおかしいよ…
私馬鹿みたい…


ってそんな事より…


千菜「ねぇ…何処に向かってるの?」


行くところがあるって…一体何処に向かってるの…?


奏叶「ん?保健室だよ」


保健室…?
なんでそんなところに…もしかして…


千菜「怪我…痛むの…?」


さっき私が突き飛ばしちゃったから…


奏叶「あー違う違う
怪我なら大したことないし大丈夫だよ

用があるのは保健室じゃなくて伊藤センセ!」


保健室じゃなくて伊藤先生に用事…?
それってどうゆう事なんだろ…



千菜「…用事って…?」


奏叶「んー…宣戦布告?」


………やっぱり奏叶は馬鹿なのかな
宣戦布告って一体何を宣戦布告する気?
まず宣戦布告の意味分かってるのかな…この人…

そんな事考えてる間に保健室に着いてしまった

……さっき先生の事を無視したから…顔合わせにくい
怒ってるかな……



――ガラ



伊藤「東っ…と誰かと思ったらさっきの生意気なガキ」


先生は私を見ると安心そうな顔をした


私達は手を繋いだまま保健室に入る
…こんな所見られるなんて恥ずかしい…



奏叶「ガキじゃないし」



伊藤「俺からしたらお前らなんてまだ子どもだよ

……その様子じゃうまくいったみたいだな
それで…?
わざわざ見せつけるように2人で手を繋いで来て…もしかして付き合ってるのか?」


付き合ってる……?
そういえばどうなんだろう


奏叶と一緒に居たいと思った
私は奏叶が好きだと思った

だけど…そういえば私…奏叶に直接告白の返事してないよね…



奏叶「そうだよ」



―――…え…?



迷いもないまっすぐな横顔…
その横顔が本当なんだと思わされた



それがなにより嬉しかった
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