君が嫌いで…好きでした

*伊藤先生*


………東は寝たか
さっき約束したけど…たぶん嘘をついたな
東の事だから必ず自分を責めるだろう…


そうならない為にも証明する為にも俺が今、死ぬわけにはいかない
東が卒業するまでは…


……それにしても…告白されたとは驚いたな

普通の女の子なら喜ぶ事だけど東には辛いだけだな…
噂さえなければただの女の子なのに…


……初めて東と会った時は今よりも口数が少なくて暗い子だと思った

俺でさえ今のように話してくれるようになるまで時間がかかった
心に空いた大きな傷は未だに塞がらないか…


早く何とかしてやりたいが…
東の為に今、俺はなにができるんだろうか


ガラッ


「失礼します」


伊藤「おー、珍しいな。どうした?」


珍しい客人は保健室の中をキョロキョロと見回して言った


「先生、ここに千菜……東 千菜さんいませんか?」



千菜……

東の事探してるって事は…もしかしてこいつか?東に告白した相手は

わざわざ探しに来るなんてな
東がここに来るわけだ…


伊藤「さぁ、ここには来てないぞ」


「そうですか…」


そいつはじっとベットの方を見ながら生返事で返した


…………気付いてるのか…?



「……じゃ、失礼します」


伊藤「ちょっと待った」



俺はそいつを呼び止めた



伊藤「お前だろ?東に告白したの」


「………なんで先生が知ってるんですか」



伊藤「東に相談されたんだ
なんで東なんだ?お前なら他にも居るだろ?」


「先生に関係ないと思います」


伊藤「関係あるね
面白半分で東に近付くならやめてくれるか?
あの子は純粋なんだ」


「……先生は千菜とどうゆう関係なんですか
まさか…手出してるとかじゃないですよね」


ガキがいっちょまえに睨んでくるね
しかも俺と東の関係にヤキモチか


伊藤「気になるか?」



「………別に。千菜に直接聞きます」


伊藤「…東がお前に話すと思うか?」


「失礼しましたっ」



バタン…!


くそガキ…いや…俺もか…
なんだか大変な事になりそうだな…
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