君が嫌いで…好きでした

「な…なんなの!?
大体なんで湊までそいつの事庇ってんの!?」


「そうだよ!
湊だって東さんの事散々言ってた癖に!」



湊「うるせぇよ
全部誤解だったんだよ
それに…友達は助けるもんだろ」



湊…



「は!?友達!?頭おかしいんじゃないの!」



湊「お前らに言われたかねぇよ。さっさと消えろ」



奏叶「次、千菜になにかしたら今度は許さないからね」



女の子達は言い返せなくなって逃げるように走って言った



奏叶「千菜大丈夫?何もされなかった?」



奏叶が少し心配そうに顔を除き混んできた



奏叶「それにしても間に合って良かった
湊サンキュー」



湊「だから言ったろ
てか寒っ!!くそービショビショだよ!たくっ…」



人の心配ばかりで…
何が大丈夫?なの
自分達の方が大丈夫じゃないじゃん…


私は2人の袖を掴んだ



千菜「…保健室にタオルがある
早く行こ…そのままじゃ風邪引いちゃう」




―――保健室


ガラッ



千菜「伊藤先生、タオル借ります」



伊藤「おー東…って…七瀬に野々村!?
お前らそんなびしょ濡れでどうしたんだ!
水遊びはまだ早すぎるぞ!」


先生は少し慌てた様子でタオルを渡した



湊「水遊びなんかするわけねぇだろ
ちょっと色々あったんだよ」



伊藤「色々ねー…
何があったか知らないけど風邪引くなよ」



奏叶「あれ…伊藤、千菜は?」



伊藤「お前は相変わらず呼び捨てか
東ならもうすぐ戻ってくるはずだよ」


ガラッ


千菜「…湊、奏叶
ごめんなさい、勝手にロッカーから持ってきた
これに着替えて」



奏叶「体操着…わざわざ持ってきてくれたの?」



千菜「あとこれも…体温めて…」



奏叶と湊に体操着と温かい飲み物を渡した



湊「へぇー意外と東って気が利くんだな」



奏叶「ありがとう千菜」



千菜「…お礼を言うのは私の方だよ

湊…奏叶…ごめんなさい
私のせいでこんなことになって」


私を庇ってこんなことに…

私がもっとしっかりしていたら
こんなことにならなくてすんだのに…


湊「…なーに謝ってんだよ
それにこうゆう時はごめんって言われるよりありがとうって言われる方が嬉しいもんなんだよ。な、かな」


奏叶「湊の言う通り
それに千菜のせいでもないしね」


伊藤「なんだなんだ
いつの間に野々村まで東と仲良くなったんだ。先生は嬉しいぞ」



湊「うるせーよ。何だっていいだろ」


少し顔を赤らめて言い返す湊


私は最初、湊は怖くて酷いこと言う人だと思った
だけど今はね、友達想いのとても優しい人だと知った


それにあの時の言葉…


[友達は助けるもんだろ]


あの時の言葉…
私にはすごく嬉しかった

この繋がりは奏叶が居なかったら出来なかった大切な繋がり


千菜「…湊…奏叶…ありがとう…」


たった一言に私は精一杯の気持ちを込めた



奏叶「どういたしまして」



湊も奏叶も私に笑いかけてくれた



伊藤「良かったな東。友達も増えて俺は安心したよ」



千菜「先生のおかげだよ…」



――――…くらっ…


あ…れ…なんだろ…視界が揺れる…




伊藤「東?どうした?」



―――――…ドサッ…



奏叶「千菜!?」
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