君が嫌いで…好きでした

*奏叶*


ドサッ…
倒れそうになった千菜をとっさに受け止めた



奏叶「千菜!?どうしたんだよっ」



気失ってる…?



湊「なんだよ急に」



伊藤「またか…」



奏叶「伊藤っ、千菜どうしたんだよ!」



伊藤「そう大声出さなくても大丈夫だ
ただ気を失ってるだけだから

お前が受け止めてくれて助かった

……前から何度かあるんだ
今みたいに急に倒れる事が」



湊「前から?
それって病気とかじゃねえのかよ」



伊藤「…栄養失調なんだ
東の食事は見たことあるか?」



奏叶「見た…野菜ジュースとおにぎりだけだった」



伊藤「そうなんだ
東の食事はいつもそんな感じ
食べない事も珍しくない

そのせいで栄養が不足し
今みたいに急に倒れる事がある
俺からも東にしっかり食べるようには言ってるんだが…

家族を失い今じゃ一人暮らし
大変なのは分かってるがこのままでいいわけがない

悪い七瀬
東をベットに運んでくれ
大丈夫、そのうち目を覚ます」



千菜…
今まで1人で…どんな思いで過ごしてきたんだろう

大変だったはず
ずっと頑張って来たんだな
こんなことになるまで…



湊「…かな、今なに考えてる」



奏叶「…今までは1人だったかもしれない
だけど今は俺が側に居る
俺がしっかり千菜の事支えてやらないと」



湊「俺達な
ちょっと待ってろ
今、荷物とか持ってくるからよ
かなの考えてることくらい分かってる」



奏叶「サンキュー湊」



伊藤「…友達か…
まさかこんな風になるなんて俺も思ってなかったよ
お前のお陰だな七瀬
俺からもお礼を言うよ」



奏叶「あんたにお礼言われるとか気持ち悪いな
でも任せろよ
千菜は絶対1人にはさせないよ」



伊藤「…お前なら安心だな
………お前の事を信じて1つ話がある
大事な話だ、よく聞けよ」



奏叶「伊藤……?」
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