君が嫌いで…好きでした
ゆっくり奏叶が手をチョコに近づける
だけどその手はチョコの手前で止まってしまった
…………やっぱり怖いんだ
ちっちゃくて可愛いのに…触るだけであんな必死な顔して…馬鹿みたい…
私はそっと奏叶の手を支えた
奏叶「千菜…!?」
千菜「静かに…私も手伝ってあげるからそのまま…」
奏叶はコクッと頷いた
私はゆっくり奏叶の手の上にチョコを乗せた
奏叶は少しびくびくしてる
何だか…それがほんの少し面白かった
千菜「大丈夫…優しく撫でてみて」
奏叶はゆっくりとチョコの頭を撫でた
チョコは気持ちよさそうに目を閉じていた
大丈夫そうだったから奏叶からそっと手を離した
千菜「感想は…?」
奏叶「すっげ気持ち良い…
なんだこいつ…超可愛い…
こんなちっこい体で一生懸命生きてるんだよね…やばい…超感動した!」
そこなの………?
やっぱり奏叶って……
千菜「…変な人……」
奏叶「おりゃ、チョコ。気持ち良いか?」
…慣れるの早い
さっきまですごいびくびくしてたのにすっかりチョコとじゃれあってる
奏叶「そういえば千菜具合どんな?
吐き気とか大丈夫?」
千菜「うん…だけどまだ少しフラフラするかな」
奏叶「そっか…なんか用あったら言って
俺、何でもするから!」
千菜「うん……
奏叶…私は大丈夫だからもう帰りなよ
20時過ぎちゃったよ?」
そう言うと奏叶はピタッと動きを止めて黙ってしまった
……なに…?
奏叶「あの…それなんだけどさ…
千菜が心配だからもし千菜が良かったら…泊めて貰ってもいい?」
千菜「……え…泊まる…?」
奏叶「うん
千菜1人にしとくと何かあるかもしんないし、まだ熱も結構あるんだから
それにこうゆう時って誰か居ないと寂しいでしょ?」
……奏叶って時々本当に心を読んでるんじゃないかって思う
今日ずっと風邪を引いて寝ている間すごく1人なんだと感じて寂しかった
時間が過ぎていくうちにもうすぐ奏叶が帰っちゃうのかなってどこかで思って寂しくなった…
奏叶「……やっぱり図々しかった?」
千菜「……そこの収納の中に…布団が1組入ってるからそれ使って…
床で寝ることになっちゃうけど…それでもいい…?」
そう言うと奏叶は嬉しそうに言った
奏叶「本当!?ありがとう千菜!」
奏叶の笑顔を見て…私の中で何かが熱くなるのを感じた
私はポスッとベットに横になった
なんだろ……熱上がってるのかな…
それとも…奏叶が私の何かを熱くさせてるのかな
この熱はどっちなんだろう…
奏叶「じゃ、電気消すよ?
具合悪くなったらすぐ言ってよ」
千菜「…うん……」
奏叶「お休み千菜」
………ベットに寝るの…久しぶりかな
いつも机でそのまま寝ちゃってるから
いつも少しだけ…暗闇が苦手だった
この暗い空間に…1人ぼっちなんだと思わされたから…
今は奏叶がいてくれて…少し安心してる…
変なの…
私はゆっくり目を閉じて深い眠りについた
そして…いつの間にか夢を見ていた
千菜「………ここは…公園?」
小さな公園に私だけが立ってる
千菜「……誰も居ない…」
公園なら子ども達が遊んでいてもいいはずなのに…すごく…静か…
辺りを見回していると後ろから私を呼ぶ声が聞こえた