君が嫌いで…好きでした
「千菜」
静かな公園にその声だけがはっきりと響いた
千菜「…お父さん?お母さん?」
振り返るとそこにはお父さんとお母さんが居た
それだけじゃない
いつの間にか私を取り囲むように皆が居た
千菜「おじいちゃん、おばぁちゃん…お兄ちゃんに真琴…?それに伊藤先生と奏叶まで…皆…どうしたの?」
お父さん「千菜」
お父さんが笑って私の名前を呼んだと思ったらスッと私の前から消えた
千菜「お父さん…!?」
お母さん「千菜」
千菜「お母さんまで…っ」
そして順番に私の事を呼んでは次々と皆消えていった…
伊藤「東」
千菜「伊藤先生待って…っ」
先生も消えてしまった…
なんなのこれ…なんで皆消えていくの
何が起こってるの…?
奏叶「………千菜」
そして最後に私を呼んだのは奏叶だった
千菜「奏叶…?」
奏叶の体は徐々に消えていく
千菜「待って…!奏叶まで何処に行くの…っ
行かないで!」
奏叶「……千菜…」
千菜「なにこれ…体が…透けてる…!?」
気づけば私の体も皆と同じように徐々に消えていた
千菜「な…なにこれ…いや…いやぁぁっ…!」
―――――――――――…
奏叶「……な……千菜!」
ハッと目を開けると暗い部屋の中で月明かりに照らされた奏叶が目の前にあった
千菜「……奏…叶……?」
ここは……私の部屋…?
奏叶「うなされてたけど何か…怖い夢でも見てた?」
心配そうに奏叶が声をかけてくれた
夢……
思い出そうとしたらズキッと頭が痛くなった
千菜「…覚えてない……」
何だか……すごい怖い夢を…見ていた気がする
だけど思い出そうとすると頭が痛くなる
思い出したくないような…
奏叶「……千菜大丈夫…?」
千菜「…うん…ごめん起こしちゃって…」
奏叶「いいよそんくらい
千菜が大丈夫なら。
…寝よっか。今度は怖い夢見ないといいね」
そして私達は再び眠りについた
今回見た夢が後に起こる前兆だとも知らずに