君が嫌いで…好きでした
雪兎
*奏叶*
今日も長い長い1日が終わって帰る準備をしていた
「かな帰ろうぜ」
声をかけてきたのは親友の野々村 湊(ののむら みなと)
中学からの付き合いで少し短気な所があるけど根はいい奴
「湊と奏叶が帰るなら私も帰るー♪」
「あーずるい!私も!」
湊「じゃ、皆で帰るか」
毎回こんな感じ
帰る時は大体5~6人になる
自慢じゃないけど俺も湊もモテる
まぁ、どうでもいいんだけどね
チラッと千菜の席を見る
居ない…もう帰っちゃったか……
ガヤガヤと賑やかに玄関に向かった
湊「ラッキー雪やんでるじゃん♪」
「本当だーでもさむーいっ」
こんな寒い中千菜は外で飯食べてるんだよね
……風邪引いてなきゃいいけど
俺は千菜の事を考えながら下駄箱をあけた
奏叶「――――………」
下駄箱の中を見て俺は言葉が詰まった
湊「かな?置いてくぞ」
「かーなと♪ボーッと下駄箱の中見ちゃってどうしたの?」
「なにこれ?雪うさぎだ~かわいい~」
周りの女子が声をあげる
下駄箱の中には手作りの小さな雪うさぎと
小さな手紙と封筒が入っていた
手紙には整った字で『ありがとう』と書かれて、もうひとつ封筒の中を見てみるとお金が入っていた
140円……
考えなくても分かった
千菜だ…
わざわざ返しに来るなんてまじめ…
「え、奏叶なんで嬉しそう?」
「これなんなのー?」
奏叶「んー?秘密」
なんかこんな些細な事でも嬉しく感じるとか…
湊「なにニヤニヤしてんだよ。気持ちわりぃ…」
奏叶「うっせ!」
あーもう…早く明日千菜に会いたい…