君が嫌いで…好きでした

千菜「ふ…あははっ
なんでそんな変なの好きなの…ふふっ…」



湊「――…笑った!?」


今まで笑ったところなんか見たことも無かったのにこんな風に声を出して笑うとは思わなかった


千菜「え?」



湊「へぇ~お前が笑ったの初めて見た」



千菜「ご…ごめん…」



湊「謝ることじゃねぇよ
ふーん…笑うと可愛いじゃん」


今までずっと無表情だったのに意外と笑うと可愛いんだなこいつ…

これ、噂が無ければ普通に男に人気あっただろうに…
まぁ俺のモテ力には叶わないだろうが


湊「東さ、絶対笑ってた方がいいって
今は笑い合える相手が居るんだし笑うと幸せが来るって言うじゃん?な!」


それにかなの焦る顔も少し見てみたいしな♪
あいつ急に東がモテ始めたらすごい慌てそうだしな



千菜「……湊って変な人…」



湊「は?喧嘩売ってんの?」



千菜「だって口悪いくせにたまに良いこと言うし、いつも女の子連れてチャラそうなのに意外に料理出来たり、友達思いだったり、でもちょっと馬鹿だったり変な生き物が好きだったり本当変」


次から次へと東の言葉が突き刺さる
けなされてんのかほめてんのかよく分からねぇ


湊「おま…実はSだろ…
そんなにズバズバ言われたの初めてだぞ」



千菜「え、ご…ごめん」


わざと言ってる訳じゃ無いのか…
素直過ぎるのもこいつは問題だな


湊「…で?結果として東にとって俺は良い人?悪い人どっち」


なんとなく尋ねた大した意味もない質問
きっと東は俺の事よく思ってなさそうだから良い人ではないな…


千菜「良い人…!」


だけど東は笑ってそう言ってくれた
東の笑顔に思わずドキッとしてしまった

いやいや…なんだドキッて……
相手は仮にも奏叶の彼女だぞ
ないないないない、絶対ありえない
今のは勘違いだろ
うん、そうゆう事にした

なんて自問自答した


湊「え、ゲーセン行ったことねぇの?」



時刻はまだ昼休み
東がゲーセンに行ったことがないと判明

てか一時はどうなるかと思ったが話しかければ意外と東は喋る

まぁ東の場合は喋らないじゃなくて喋れないって言った方が正しいか…


千菜「もともとお金も無かったし一緒に行く相手も居なかったから…」


あーなるほどね
さっきは嬉しそうに笑ってたのにまたいつもの東に戻ってしまった

俺も噂を信じてた1人だけど今では噂なんて不確かなものを信じて東を傷つけている奴が居るのがなんとなく許せない


湊「ふーん…」



キーンコーンカーン…



湊「あ、予鈴。そろそろ戻るか」


午後の授業はつまんねーし眠いしでもうグースカと寝ていた
そんな中でも俺はあることを考えていた

そして寝ていれば授業はあっという間に終わり放課後になった


「みーなとっ♪一緒に帰ろう♪」


いつも帰りになればこんな感じで女が集まってくる
俺の周りに集まってくる女の後ろ帰ろうとする東の姿が見えた


湊「悪い、今日は先約があるからまた今度な~」


女の誘いを断って俺は東の所に向かった



「えぇー!」



湊「おい、何1人で先帰ろうとしてんだよ」



千菜「ぇ…なに…?」



湊「何じゃねぇよ。ほら行くぞ」



千菜「え…!?」


俺は東の手を引っ張り歩き出した


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