君が嫌いで…好きでした

学校終わってからの寄り道なんか俺にとっちゃ定番コース
でも東がゲーセン行ったことがないのは驚き
こいつの場合色々と諦めてる所あるからあれなんだよ。絶対楽しんだ方が楽しいって


そして学校から歩いて数分の所にある行きつけのゲーセン
俺には普通の光景だけど東は多少驚いているように見えた



千菜「…ここは?」


湊「見ての通りゲーセン」


戸惑った様子で東は訪ねてきた


千菜「…入るの…?」


湊「来たことないんだろ?
たまにはこうゆう気分転換も必要だって」


千菜「でも…」


じれったいな…


湊「大丈夫だって、俺が一緒に居るんだから!
ほら行くぞ」


半ば強引に店の中に入るとまだ不安そうな東
まあそんな事気にしてたらきりないからスルーだな


湊「さーて何やる?」


今日は一応東が楽しむことがメインだしゲーセン初めてっつっても一応は興味あるだろ

東は戸惑った様子で辺りを少し見回したかと思うとピタッと視線が止まった


湊「どした」


千菜「あれ…」


東が指差す方向にはクレーンゲーム
景品はよく知ってるヤンクマ
俺はよく分かんねぇけど今これ女子の間ですごい流行ってるらしいな

なんだ。東も普通の女の子じゃん


湊「ふーん…よっしゃ任せろ」


これ取ったら普通に女子なら喜ぶな
いや…でも東って喜ぶのか?
まぁ分かんねぇけど思い出にはなるだろ


千菜「ぇ…取れるの…?」


湊「おう、こう見えて結構得意♪」



日々鍛えた俺の腕前甘くみんなよ
こんなん余裕で取れるって


湊「ホラよ」


取ったヤンクマを俺は東に手渡してくれた



千菜「…え…?くれるの…?」


なのに東ときたらこれだよ
誰のために取ったと思ってんだよ


湊「は?お前が欲しいみたいだったから取ったんだよ」



千菜「お金…」


そこ気にすんのかよ…
そいやかなも前そんな事言ってたよな


湊「いいよんなもん。飲みもんのお礼
さー次はなにする?」


なのに東はぬいぐるみを抱いたままうつ向いている


湊「おい、東?固まってどうした?また具合悪りぃの?」



千菜「あ、…ううん…考え事…」


考え事ね…


湊「ふーん…かなの事でも考えてたんだろ」


東は言葉には出ないけどなんで分かったのという顔をした
分かりやすいのか分かりにくいのか分からないな


湊「図星かよ
ま、でも本当にお前とかなが付き合うとは思わなかった
でもきっと大変なのはこれからだろうな」


特に深い意味は無かったがなんとなくそう思った
東が何を考えているかなんて知らずに



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