君が嫌いで…好きでした
亀裂


朝…いつものように窓のカーテンを開けると眩しい朝陽が入ってきた


千菜「眩しい…」


冬が終わりゆっくり季節は春に向かって進んでいってる
ベッドを見ると昨日湊に取ってもらったヤンクマが居る


まさか湊と仲良くなってゲームセンターにまで行くなんて想像もできなかった

友達と遊ぶなんて本当いつぶりだろう…
すごい楽しかったな…

今日は奏叶も学校に来るし…1日会ってなかっただけでも長く感じた…

奏叶大丈夫だったかな…
最近楽しくて忘れてるけど私と関われば死んでしまう…
離れていた分余計不安になってしまう…


早く奏叶に会って安心したい



千菜「チョコ行ってくるね」


私が外に出るとそこには奏叶がいた


千菜「奏叶?なんでここに…」


奏叶「千菜を待ってたんだ。昨日は会えなかったし…千菜に早く会いたかったからね」


千菜「…いつから待ってたの?」


私がいつ出てくるかなんて分からないはずなのに一体いつから…


奏叶「千菜はそんな事気にしなくていーの!
ほら学校行こう」


奏叶は何も言わずに笑った
奏叶に会って不安だった心がホッと安心した

私達は横に並び一緒に学校に向かった


学校に着くと私は相変わらず周りから避けられている
学校で声をかけてくれるのは今、奏叶と湊だけ

教室に入ると奏叶は皆に囲まれたので私は1人静かに自分の席に座って読書を始めた



「それでさ奏叶…」


奏叶「ごめん。また後で」


奏叶が適当な所で輪から抜けると空いていた私の前の席に座りじっと私を見つめた


千菜「……何?」


いくらなんでもそうジーっと見られたら気になる


奏叶「んーん?千菜可愛いなと思って」


ニッと無邪気に笑う奏叶
恥ずかしいようなくすぐったい感覚に顔が熱くなるような気がした


見られると恥ずかしいから本で顔を隠したら奏叶はまた笑った


湊「おはよーす…」


「湊おはよー。相変わらず眠そうだねー」


俺が登校してくると教室には既に東とかなの姿があった
朝からいちゃついてるんじゃねぇよたく…


湊「はよ…」


奏叶「おはよ。昨日は千菜の事ありがとな
いろいろ連れてってくれたんだって?」


湊「まぁな…そんな事より今日なんか奢れよ」


奏叶「りょーかい」


湊「それより聞けよかな。こいつヒデトラ君の良さがわかんねぇんだぞ」


千菜「変な生き物…」


湊「変とか言うなよ!お前は本当分かってねぇな…ヒデトラ君は海のギャングと言われる男だぞ!」


千菜「ふふ…なんなの海のギャングって…意味分からない」


湊「分からなくねぇよ。ヒデトラ君はコミックまで出てる人気者なんだからな。今度貸してやるよ」


千菜「持ってるの?どんだけ好きなの…クスクス」


東も少し慣れたのか笑うことが増えたように感じる
だけど一番驚いていたのはかなだった


奏叶「千菜が笑った!?」


湊「何驚いてんだよ」


奏叶「だって千菜が笑ったの初めて見た…うん。笑ってる千菜も可愛いよ」


照れもせずによくそんな事が言えるな
でも意外だったな…かなが初めて見たなんて…
俺はかなより先に東の笑顔見たわけか…


奏叶「それに2人仲良くなったんだな。俺凄い嬉しい」


湊「大袈裟。1日一緒に居りゃそうなるわ。な、東」


千菜「うん。私も湊と仲良くできて嬉しい…」



不意に俺を見て微笑んだ東を見て俺は思わず顔を背けてしまった
きっともう手遅れだった
俺は東の事を好きになってしまった

だけど相手はかなの彼女
この思いは胸にしまっておくか…



でもこの後あんな展開になるとは誰も思っていなかった

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