君が嫌いで…好きでした
お守り喜んで貰えて良かった…
頑張って…作って良かった…
お守りを渡して安心した私はベットへ足を運んだ
伊藤「え、寝るの?」
千菜「それ作ってたら寝るの忘れてた…」
伊藤「ふはっ…なんだそれ
わざわざ俺の為に徹夜して作ってくれたのか?東は優しいな」
千菜「……先生…それって馬鹿にしてるの?」
伊藤「んー?どうだろうな
ま、いいさ
今日は好きなだけここで寝てな
そのまま授業受けても駄目だろ」
先生はご機嫌だ…
だけど今日の先生はどこか意地悪だ…
そして本当に眠たかった私はベットに入るとすぐに深い眠りについた
―――――…伊藤「東…東起きろ」
千菜「…ん…先生…?」
伊藤「もう3時間目が終わるぞ
それに俺これから用事があるから今日はもう保健室閉めるんだ
東もそろそろ授業行きな?」
千菜「……3時間目……そんなに寝てた……?」
伊藤「おぅ、むしろ寝過ぎだな。ほら荷物」
先生…用事あるんだ…
もう少し寝てたかった…
でもしょうがない…
私は先生から荷物を受け取って教室に向かった
ガラッ…
奏叶「あ!千菜!」
私を見るなり七瀬奏叶は近付いて声をかけてきた
私はそれを無視しながら鞄をかけて席に座った
って…いうより昨日あれだけ酷い事言ったのにどうして笑顔で話しかけてくるんだろう……
おかしな人……
奏叶「千菜今まで何してたんだよ
来ないから心配した」
………私の事なんて関係ないのに
まぁ、勝手に心配しただけ
私はそんな事頼んでないし…
そして1つ分かった
七瀬奏叶はどんなに無視をしてもめげずに話しかけてくる人……
奏叶「そういえば昨日の下駄箱のやつありがとう
千菜って綺麗な字書くんだね
お金もわざわざありがと」
そして奏叶はどんな時も笑顔だったやっぱり私だってバレたみたい
だって借りを作るのは嫌だったから…
千菜「……なんの事?そんなの私知らない」
でも私は知らないふりをした
奏叶「ふーん…♪でもいいんだ!
俺はそう信じてるから♪」
言うだけ言って奏叶は皆の中に戻っていった
信じてるって……
奏叶の言葉…行動
全て下らないものだと感じる
だけど…奏叶の1つ1つの言動が心に残るのは何故だろう…
私に話しかけてくる人なんて居なかったもんね…きっとそのせい
私は教科書を広げた
先生「ここは~………であるから……」
黒板に当たるチョークの音
先生の声
小さな話し声
私は黒板をボーッと眺めていた
何も考えたくない…
ピーポーピーポー…
どこからか救急車の音が聞こえる
それはこの近くを通るようで段々と音が大きくなってきた
やめて……聞きたくない…!
激しい目眩に襲われ記憶が走馬灯のように蘇った
思い出さないようにしていた
赤く冷たい記憶の数々が鮮明に目に焼きついていた
苦しい………
嫌だ……1人にしないで…!
お母さん、お父さん
おじぃちゃん、おばぁちゃん
お兄ちゃん、真琴……!
私は救急車の音が聞こえなくなるまで耳を塞いだ…