君が嫌いで…好きでした

そして終業式から2日が経ちお花見を明後日に控えていた日曜日の朝

8時過ぎに目が覚めて体を起こすと何だか少しダルいような間隔にクラクラするような目眩も少し…

熱を測って見たけど熱は無かったのでいつもの栄養失調から来る症状かな…
最近はほとんど無かったのに…
でも大丈夫。いつもより酷くないしすぐに治る…

と思いつつも立ち上がり棚の引き出しを開けてある薬を取り出した
前に伊藤先生がくれた栄養剤…
飲んでおいた方がいいよね…先生なら絶対に飲ませる


私は栄養剤を飲んでから机に向かって出された宿題を淡々とこなしていった


勉強に没頭していて気づいたらもうすぐ11時になる頃だった


ふと奏叶は何しているのかなと考えて…考えていたら奏叶に会いたくなった


でも今外に出たら倒れちゃうことがあるかもしれない…
伊藤先生がその時はゆっくり休むように言われてたけど…ごめん先生。私約束破るね


軽く準備をして外に出た
奏叶に連絡はしなかった。改めて会いたいとかそんな事言いたくなかったから…

それに薬のお陰か体調も少し良くなったし散歩しながら奏叶の事探してみようかな…



なんて気長に考えていたら家を出てからあっという間に3時間くらい経っていた


こんな長い散歩したことないけど奏叶を探すのが何となく楽しかった
でも少し疲れたので近くの公園に入ってベンチに座った


クラ…


まただ…少しクラクラしてきた…
少し休めば良くなるかな…

でも中々治らずに少し辛くなってきた頃だった



奏叶「千菜?やっぱり千菜だ」



奏叶の声が聞こえて顔を上げるとそこには会いたかった奏叶の姿が


千菜「奏叶…」



まずい…こんなところ見られてこれ以上奏叶に心配かけられない

平静を装おうとして私は立ち上がったけどその拍子に目眩で足元がふらついた


奏叶「千菜…!?大丈夫!?」


よろけた私を奏叶は受け止め支えてくれた


千菜「ごめん奏叶……」


奏叶「顔色も悪いね。少し休もう」


私をベンチに座らせ奏叶は隣に座ってくれた

奏叶に会えたのは嬉しいけど結局迷惑をかけてしまった



奏叶「それでなんでそんな状態で外に居たの?」



千菜「……奏叶に会えるかなって」



弱っているのか安心したのか自分の正直な気持ちが言葉に出た



奏叶「え、俺も。千菜に会いに行こうと思ってた。ほら」


奏叶が見せてくれたのは色んな食べ物が入った袋


奏叶「俺達同じこと思ってたんだね」


奏叶も…何だか少し恥ずかしいけど少し嬉しい…っていうより…


千菜「お腹空いた…」


奏叶「え、もしかしてご飯食べてないの?」


千菜「今日まだ食べてない」


奏叶「本当!?買ってきて良かった。千菜の家行こうか。ご飯作ってあげるよ。歩ける?無理ならおんぶしてあげるよ」


千菜「…自分で歩ける」


おんぶなんてそんな恥ずかしい事出来ないしそれにゆっくり休んだからだいぶ良くなった


だけど立ち上がった私の手に奏叶の手が重なった


奏叶「これなら倒れそうになってもすぐ助けてあげられるよ」



初めて奏叶と手を繋いだ瞬間だった
手から奏叶の温もりが伝わってどこか安心する…



千菜「…ありがとう……」



私の小さなありがとうに奏叶は笑ってどういたしましてと返した

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