君が嫌いで…好きでした
奏叶と手を繋いで道を歩く
奏叶は片手に袋を持ちながらニコニコと鼻唄を歌って何だか陽気だなと感じる
そして繋いだ手から伝わる温もりが心地よかった
だけど時々錯覚してしまう
あの時の真琴の姿を……
私が強く手を握ると奏叶は不思議そうにしていた
奏叶「千菜?」
奏叶、どうかこの手を離さないで
神様、どうかこの人の笑顔が儚く消えていかないように…ずっと笑っていられますように…
千菜「お花見…楽しみだね」
奏叶「そうだね」
――家
奏叶「チョコ!久しぶり。相変わらず可愛いなお前」
千菜「飲み物何か出す…」
奏叶「いいよ。それよりご飯でしょ?俺も千菜と一緒に食べようと思ってたからお腹ペコペコなんだ。千菜何食べたい?」
奏叶は…馬鹿みたいに私の事を考えて思っていてくれるんだ…
私は奏叶に何か返してあげられてるのかな
好きな人の役に立ちたい…
奏叶「千菜?」
千菜「…奏叶は座ってて。私がご飯作る…」
なんでもいい…ほんの少しでも奏叶に何か返したい
料理なんて普段滅多にしないし好きな人に食べてもらえるような凄い料理は作れないけど…
奏叶「え…でも体調は?」
千菜「平気…すぐ作る。材料使わせてもらうね」
そして私は料理に取りかかった
これだけの材料あれば色んな物作れそうだけど…パスタにしてみようかな
待ってる間奏叶はチョコとじゃれあったりしていた
そしてしばらくして料理は完成
見た目も味も大丈夫…
出来た料理を持っていくと奏叶は目を輝かせていた
奏叶「凄い…美味しそう!これ本当に食べていいの!?」
千菜「うん」
奏叶「いただきます!」
パスタを口いっぱいに放り込んで食べる奏叶はどこかチョコに似ているようで少し面白かった
奏叶「美味しい!美味しいよ千菜!」
千菜「…大袈裟」
でも美味しいって言ってくれてどこかホッとした
奏叶「俺、千菜の手料理初めて食べたから嬉しい。今日来て良かった」
無邪気に笑う奏叶の真っ直ぐな言葉に恥ずかしくなってきた
千菜「馬鹿じゃないの…」
でも私にとって何より嬉しい言葉だった
奏叶が喜んでくれるなら料理の練習しようかな…
今度は奏叶の好きなものを作ってあげたいから…