かごの中の鳥は
挿入される。
(い…やだ!)
強い拒否の意思に反して、指先ひとつ動かすこともできない。
とめどなく溢れる涙が、ポタポタとシーツにシミを作る。
「ホラ。一葉。もっと呼べ」
忍の熱く肥大したものが、一葉の中に入れられる。
「ああ――っっ!」
強烈な異物感とともに、身体が大きく仰け反る。
血が赤い花弁のように、白いシーツにシミを作る。
そこで一葉は意識を失ってしまった。
初めての行為は身も心も手放すほど、一葉には強烈なものだった。
その後のことはわからない。
気付いた時には、自分の部屋のベッドに寝ていた。
夢だったのかと思ってベッドから起き上がろうとした時、激痛が身体を通り抜けた。
そのことで昨夜のことは夢ではなく、現実のことだったのだと気付かせた。
その日から一葉は若き当主を、ご主人様と呼ぶようになった。
ご主人様の寝顔を見ながら思う。
ご主人様を裏切ってここから逃げたらどうなるだろうか。
まだ『外』に出ることを諦めたわけではなかった。
本当は町の仲間と暮らしたかった。
あの人の温かさが感じられる町で。
でも、こんな仕事に浸かってしまった自分をみんなは受け入れてくれるだろうか。
軽蔑の目で見られないだろうか。
その思いが一葉をここに縛り付けている理由の1つだった。