【完】Sweet☆カカオくん!
百瀬の目から零れ落ちる、大粒の涙。
……この一年、コイツはずっと笑っていて。
泣いている姿なんて、見たことが無かった。
いつも笑顔でクラスの中にいたことを、俺は知ってる。
『あ、あたし、百瀬みるくです……。宜しくね、加々尾くん。』
初めて顔を合わせた時、そう言って微笑んだ百瀬。
今……コイツの笑顔を壊しているのは、俺だ……。
「百瀬。」
「っ、もう、嫌……。加々尾くんなんて大嫌い!!」
とりあえず謝ろうと思ったのに。
百瀬は俺にそう叫んで、教室を飛び出して行った。
開いた窓からの春風が、俺の髪を揺らす。
百瀬のいなくなった、隣の席は。
……何だか、寂しい。