【完】Sweet☆カカオくん!
……いつも隣から聞こえる、煩いアイツの声が、今日は聞こえない。
薄く目を開くけど…………いない。
「えぇーっ!! みるくん、ホワイトデーが誕生日なん!?」
代わりに聞こえて来たのは、いつかの耳障りな声。
“みるくん”
それが百瀬を指しているということは、聞いた瞬間に分かった。
こんなにも甘い名前の奴なんて、アイツを除いて誰一人、この学校にいない。
「めでたいなぁ、御祝いせなあかんやん!」
「え……。い、いいよいいよ、城之内くん。わざわざそんな……。」
再び閉じた目を、少し勢いをつけて開く。
頭の中で、あの関西弁野郎の言葉が思い出された。