真実(仮)
1
Japan
「んー」
久々の日本の空気を胸一杯に吸い込み、空港内を出口に向かって歩いた。
「急いで下さいって」
近くでそんな声が聞こえた。
「あー」
何とも生返事だな、と思いつつ足を進めようとすると男にぶつかった。
「っ!す、すみません。お怪我はありませんか?」
と慌てて顔を見ると先程面倒くさそうに返事をしていた奴だった。
「大丈夫。あんたは?」
「何ともありません」
と答え、後で何かあると困ることになるので、
「コレ私の連絡先なのですが、もし後になって何かありましたらこちらにご連絡下さい」
頭を下げ、謝罪し、その場から動き始めた。ぶつかってしまった男に少し離れた所から
「もう時間です。急いで」
と言ってる声が最後に聞こえた。
ぶつかってしまった男が自分を見ていることにも気付かずにその場を立ち去った。
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