真実(仮)
「鐐〜ッ」
その可愛らしい声と同時にその声の主が抱き着いてきた。
「っ、梓苑様」
「久しぶりね♪お帰りなさい」
「只今帰りました」
この見た目も何もかもが可愛らしいお方は、私の主の''星咲 梓苑''(ホシサキ シオン)様。
小さい頃から…極端に言えば、生まれた頃から仕えている、付き合いのあるお方だ。
色々と思い起こしていると
「鐐?今まで一度も帰って来なかったのはどういうことかな??」
笑顔の裏に黒い笑いが見えるのは気のせいということにしておきたいくらいの満開の笑顔だ。
「…あ、あはは。すみませんッ」
「謝って済んだら警察要らないのよ!」
こうなった梓苑様を止めるのは少し難しい。
どうしようかと考えていると、上の階から天の声が。
「梓苑、そこまでにしておきなさい。長時間の移動で疲れているだろうし、鐐は梓苑に怒られるためにわざわざ帰って来た訳ではないのだから放しておやり」
「…はーい」
梓苑は膨れながらも鐐から渋々離れ、鐐は、声の主に頭を下げる。
「話は、部屋でしよう」
「はい」