真実(仮)


地下から家に入ると幼少期に過ごしていた部屋に出た。

家族との思い出の詰まった私の大切な場所の一つである。


「ここは懐かしい匂いが一杯する」


私の独り言がこの広い家に大きく響いて木霊する。


暫く家の中を歩き回り、落ち着いた頃、紅茶を入れ冷凍庫に入っていたアイスケーキを一切れお皿に取った。


窓の側に設置してある席に着き、一口ケーキを口に入れる。

冷たさと甘みが一瞬にして口の中に広がった。


「ん〜、相変わらずの美味しさ」


その時、家のベルが鳴った。


「ん、あれ?誰だろう?」

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