星に願いを
梅雨が開けた生温い風が居間を通り抜けてゆく。おとんが不器用にぶら下げた風鈴が音を奏でた。
ムシムシムシムシ、暑い、暑い。日曜日の午後1時に居間で父親に説教されるアタシってすっごく可哀想。
「聞いとんのかッ!」
「はいはーい。聞いてますよー」
「まったくお前は…毎日毎日担任の先生からの電話、保護者呼び出し計22回。生徒指導88回。髪!化粧!ならまだしも…くっ、この頭の悪さ。お前は隣の優大(ゆうだい)君を見習え!」
「優大だって金髪…」
「勉強ができれば何も言わん!だがお前はどうだ。高校生2年生にもなって、うっ!」
「(…げッこないだのテストで8点取った事バレてる!)」
「お父さん、悲しいぞおおおおー!」
ちゃぶ台をひっくり返される前に乗っていたおやつを手に取って、ぎゃあぎゃあと大きな声で怒鳴るおとんを横目に時計を見た。時間は1時15分。これは大変マズイ。
「じゃあ優大に勉強教えて貰って来る!」