星に願いを
「亮助くん、これ食べて!」
「歌うたってー!」
どうして、どうして、こうなるんだ。
「ちょちょ、なにアンタ亮助くん連れ来てん」
隣に座ってるメグがあたしにそう小声で話した。
あれから“どっちがモテるか勝負しよーや”と亮助に勝負を持ちかけられた。無論負けず嫌いなアタシは今まで一度だってモテた試しがない癖にその喧嘩を買った。
「…な、成り行きで。」
考えれば分かる事。奴が転校してきて10日で、どれだけの女に告白されてたかなんて傍にいたアタシが一番分かってた。
カラオケボックスを見渡せば両手に女子を侍らせた奴の笑顔。
…くそう、完敗だ。
悔しくて自棄になったあたしは、カラオケのリモコンで曲を入れた。
「次アタシ歌いまーす!」
そして流れたアタシの十八番。あの有名アニメの主題歌だ。
「ドラゴンボォォルゼェェッーっ!」
つい今が合コンだという事を忘れ、幼馴染み達といるような感覚で歌い終わると呆れた顔のメグ、鼻で笑う亮が見えた。
しまった、そう思った時にはもう遅い。男の子達はあたしからわざとらしく目を反らした。ああ、今日は盛り上げ役決定だ。
ふん、でもいいんだ。だって全然トキメクような男の子いないし、さ。あんな奴ら優大の屁でも叶うまい。
あまりにも熱唱しすぎたせいか喉がカラカラ。さっき注いできたオレンジジュースがあっという間に底を尽き、あたしはドリンクバーに行くため席を立った。
「ドリンク欲しい人ー?」
そう言って4つのコップを持ちながら、目が合った亮助にべーっと舌を出して部屋を後にした。