怪奇体験・短編集
コックリさん
中学生になったころ、私たち一家は転居して父の実家で暮らす様になりました。
私と姉は2階の一室にベッドを一つ、机を二つ置いて、狭かったけれど自分たちだけの部屋が持てたのを喜んでいました。
私達はオカルトやホラーや心霊番組などが大好きで、心霊写真集を友達から借りては2人で見ていたのを覚えています。
ある日、その当時流行っていた【コックリさん】をやろうという話になり、ワクワクしながら準備しました。
ゲーム感覚で、本当に霊が来るなんて信じていなかったから。
ちょっとドキドキしながら、手順通りに・・・。
窓を少し開けて、さあスタート!
「コックリさん、コックリさん、おいで下さい。来られたら「はい」の所に行って下さい。
・・・。
姉と顔を見合わせて、「来ないね・・。」と、私。
「もう1回、呼んでみよう!」と、姉。
「コックリさん、、コックリさん、、おいでくださ・・・い」動いた!!
10円玉がス~~~ッと、【はい】の所に移動した!!
「お姉ちゃん、動かしてる?」
「そんなわけないやん!千絵やろ?!」
そんな会話の間も何か言ってる様に10円玉は動いてる。
名前とか、性別とか、いくつか質問していたけれど、その内くるくる回りだした。
始めはゆっくり、どんどん早く回りだした。
「お姉ちゃん、怖い・・。もう帰ってもらおう!」
「うん・・。」
「コックリさん、、、コックリさん、、、もうお帰り下さい。」
10円玉が又動いた。
「いいえ」「いいえ」
何度頼んでも帰ってくれない。姉と私は無理やり10円玉を鳥居にくぐらせ、指を離した。
「怖かったね。・・・本当に来たのかな?」
姉は、「気のせいよ。自然に指に力が入って勝手に動かしてたんよ。」と、半ば自分を納得させるように言った。
「でも、私は本当に動かしてないよ?実際に来てたなら、勝手に呼んだり帰したりして怒るんやない?}
と、言った瞬間、ドンドン!ドンドン!
部屋の戸が叩かれた。
凄い勢いで2人してベッドに潜り込んだ。
「お姉ちゃん、、見て来て・・。」
「嫌よ。千絵が行って。」
仕方なく私が戸を開けてみる事にした。
取っ手を持って、勢いよく開けた!
そこには、誰もいなかった。
「良かった~~!」
ホッと胸をなで下ろしたけれど、あれは、遊び半分でやった事への警告だった気がする。
それから2度と【コックリさん】をする事は無かった。

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