刀華
 喉を、刀が貫いている。
 彦四郎の放った刀が、鬼一郎の首を突き刺しているのだ。

 先の光は、彦四郎が自分の刀で日差しを反射させたのだ。
 日を背にしたことが、仇となった。

 鬼一郎は、喉に刺さった刀に手をかけたまま体勢を崩すと、そのまま倒れ込んだ。

「ふふ。これが俺のやり方よ」

 薄ら笑いの彦四郎が歩み寄り、鬼一郎の顔に足をかける。
 そのまま刀の柄を掴むと、無造作に引き抜いた。
 血が迸り出る。

「兄弟子を斬ったことで、お主の、その残忍さが、ちょっとは緩和されることを祈るばかりじゃ」

 離れたところで成り行きを見守っていた師匠が、ぽつりと呟いて、腰から刀を引き抜いた。
 それをその場に置くと、背を向け立ち去る。

 以来この師の姿は消え、彦四郎が二代目を継ぐこととなった。



*****終わり*****

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