小さなキミと
Prologue.
どうしてあたしは他の子よりも大きいんだろう。


小学校1年生の時、ふと疑問に思って母に尋ねたことがある。


すると返ってきたのは、

「遺伝だね」

の一言。


その頃のあたしは、まだ“遺伝”という言葉の意味を知らなくて。


「いでん、ってなぁに?」

と聞いてみると、


「親の特徴が子どもに伝わること。ママもパパも背が大きい方だから、きっと涼香(りょうか)も、これからもっともっと大きくなるよ」


母は嬉しそうにそう言って、頭を撫でてくれたっけ。




それから6年後。


小学校を卒業する頃には、あたしはとっくに母の身長を追い越していた。




そしてさらに3年が経った、今現在。


中学校の卒業式の後、友人たちに半(なか)ば無理やり、記念にと保健室で身長を測らされ。


興奮する友人たちが発したその数値を聞いて、我ながら驚愕(きょうがく)。




ぐんぐん伸び続けたあたしの身長は、ついに170㎝の大台に乗ったのだった。

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