小さなキミと
「絶対絶対、ぜぇーったい、言わないよっ」


あたしが言うと、日向はにっこり笑ってくれた。


「あたしも……世良くんに、余計なことを言わないようにするわ」


ちょっぴり気まずそうに、結が言った。


「いーの、リア充は変な気を使わないで。涼香、一緒に片思い頑張ろうっ」


あっけらかんと言った日向だけど、あたしはそれには賛同しかねる。


「いや、前にも言ったけど……あたしの場合は日向と違って、見込みがゼロといいますか……」


苦笑いを浮かべて視線を逸らすあたしに対して、「コラ、なに言ってんのっ」と強い口調で叱咤する日向。


「前から思ってたけど、なんで努力もせずに諦めてんの?
……そりゃ、身長のことはあたしには分かんないよ。
分かんないけど、まずは自分に対する見方を少しでも変えてもらえるように、努力しなよ」



まさか日向に説教される展開になるとは……。

突然のことに驚きつつも、日向の言葉は確実に、あたしの胸に突き刺さった。


それを察したのかしてないのか、日向は声を落として続けた。


「あのね、涼香。ああいう、服部くんみたいな小柄系男子って、割とモテるんだよ?
服部くんって、結構普通にイケメンだし」


「こ、小柄系男子って、なにその洒落(しゃれ)た呼び名……」


あたしのつぶやきはスルーして、いつになく饒舌な日向がまた口を開く。


「服部くんって、女子が苦手なんだよね?
分かりやすーく避けられるから、クラスの女子には人気ないけどさ。
接点ない先輩とか他クラスの女子からは、かなり目を付けられてるらしいよ」

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