小さなキミと
その間変わったことといえば、席替えがあったこと。

くじ引きによって、残念ながらあたしは服部と、席が離れてしまった。


その影響で、服部と喋る機会はグンと減った。


服部があたしの席にやって来ることはまずないので、喋るためにはあたしが行くしかない。

とは言っても、服部の席までわざわざ出向くのは……ちょっとハードルが高い。


近くに結や日向の席があったら行きやすいんだけど、物事そう都合よくはいかない。


しかもあたしの席の周りは、今まであまり喋ったことのない子たちばかりだった。


それもあって、席替え直後は相当凹んだけれど……


今ではすっかり打ち解けたから良しとする。



そして中でも1番仲良くなったのが、前の席の男子、八神 有(やがみ ゆう)だった。


実はあたし、彼のことは入学当初から気になっていた。


もちろん深い意味はなく、ただ興味があっただけ。


彼の身長は、驚異の190㎝越え。

文句なしに、学年で一番の長身男だ。


サーフィンが趣味でよく海に行くらしく、こんがりと日焼けした肌が色気を醸し出していて、見た目だけならあたしのタイプ、どストライクの人物。


“タイプ”と“好き”は全くの別物だということは、この八神と喋るうちに何となく分かってきたことだ。


八神はカッコイイと思うけど、それはあくまでも見た目だけ。


服部に対する気持ちとは全然違うなぁ、とよく思うのだった。

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