小さなキミと
「当たり前でしょ。っていうか、結は荷物が多すぎるわ」


呆れた目を結に向けると、ムッとした表情が返ってきた。


「いーや、あたしの量が普通だって。きっと日向もこれぐらいあるよ」


「いやいや、日向はそんなに多くないね」


お互いに意見を譲らないあたしたちに、「まぁまぁ、それは後で確認しようや」と、葉山くんが穏やかな口調で止めに入る。


「3人揃ったことだし、行きますか」


そう言ってニッと笑った葉山くん。


彼を先頭に、結、あたしの順で自転車を走らせること、およそ15分。

当然と言えば当然だけど、迷うことなく目的地に到着した。



洋風の一軒家が立ち並ぶ住宅街の一角に、葉山くんの家はあった。


2階建ての一軒家で、全体がベージュがかったその外壁は、よく見るとレンガ造りのような模様になっていて、とてもお洒落だ。


「こっちが奏也んち」


そう言って葉山くんは、右隣のちょっと小さめの一軒家を指さした。

その家の外壁は白で、屋根には煙突らしきものが備え付けられている。


へぇ。服部の家って、こんな洋風な感じなんだ。

なんだか家が全体的に服部っぽくて、可愛いなと思った。


服部っぽい、というのを説明しろと言われても困るけど。

< 107 / 276 >

この作品をシェア

pagetop