小さなキミと
「お前が居たら、勉強に集中できねーし」


さっきまで漫画を読んでいたくせに、その言い草はいくらなんでも酷すぎる。

軽く傷心……なんて、している場合じゃない!

なんとかしないと、ここへ来た意味がなくなってしまう。


日向と世良くんは家の方向が同じなので、2人は別で一緒にここまで来ることになっている。


それもあって、ここで服部に帰られるワケにはいかないのだ。


「マジでお願い。ただの人数合わせだと思ってさ」


「人数合わせたいなら、お前が帰れ」


服部は、あたしがなにを言っても取り付く島もない様子。


「もしもし世良? どうした、迷っちゃった?」


あたしの後ろで、呑気に電話に出る葉山くんの声が聞こえた。


「は、なに、世良も来んの?」


服部にも聞こえたようで、葉山くんへと驚いた目を向ける。


「ああ、そのコンビニまで来たら近くに保育所があるでしょ? うん、そう……」


電話中の葉山くんに変わって、あたしが口を開く。


「あと日向もね。全部で6人。
ホラ、そうするとあたしが可哀想じゃ」


「帰るっ」


語尾が、力強い服部の声によってあっさりと打ち消されてしまった。


日向、と言った途端服部は目元をピクッと引きつらせていた。


やっぱり問題は、そこなんですよね。

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