小さなキミと
ダラダラとお喋りしながら食べ続けること、1時間半。


「ヤバいよ、そろそろ勉強しないと」


やはり葉山くんの呼びかけで、食べかけのお菓子を床に追いやり、あたしたちは勉強を再開することに。


クーラーが解禁となり、この部屋は一気に快適になった。


加えて満腹のあたしたち。


容赦なく眠気が舞い込み、1時間も経った頃には、うとうととまどろむ輩(やから)が出始めた。


服部や結の意識が飛びそうになるたび、2人の真ん中に座る葉山くんが揺り起こす。


秀才日向はもくもくと勉強を進め、世良くんはイヤホンを耳に突っ込んで、完全に1人の世界へ行ってしまった。


そしてあたしは、眠気よりも厄介な敵と戦っていた。


それは────


「……剛さ。さっきから何してんの?」


沈黙を破ったその服部の声に顔を上げると、あたしの正面で不審そうな顔をした彼と目が合った。


眉間にしわを寄せ、頭を抱えて俯いていたあたしを訝しく思ったんだろう。


服部が不審がるのも無理はない。


午前中は時たまズキッと痛む程度だった頭痛が、いまや割れるような激痛に成長してしまっていたのだ。


あたしはいわゆる偏頭痛持ちというやつで、こういった突然の頭痛は珍しくない。


だけど、何度経験していてもやっぱり慣れない。


「いや、ちょっと頭痛が」


そう言って、あたしはこめかみを指で押さえた。

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