小さなキミと
「アハハ、涼香寝ちゃったね」


「大丈夫? 今すごい音したけど」


もはや全員が勉強の手を止め、机に突っ伏す剛に注目していた。


「……もしかしてアレ、睡眠薬だったのかも」


唐突に、圭がボソッととんでもないことを言った。


「えっ、マジで?」


「ちょっと圭ちゃん、しっかりしてよー」


ざわつく一同に焦ったのか、圭は勢いよく立ち上がった。


「下行って確認してくる。
奏也、とりあえず剛さんベッドに運んであげて」


「ハァッ? なんでオレが」


冗談じゃない、とんだとばっちりだ。

文句を言う前に、圭はドタドタと部屋から出て行ってしまった。


「ったく……」


しぶしぶ重い腰を上げ、オレは剛のそばまで回り込んだ。


「剛、起きろッ」


耳元で大声で怒鳴っても、剛は起きる気配が全くない。


「オレも手伝う?」


「いや、いい」


世良の申し出を、オレは迷うことなく断った。


手伝ってもらわくたって、これぐらい1人で出来る。


チビだからって、なめんじゃねぇ。

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