小さなキミと
リビングに近づくにつれ、賑やかな笑い声が鮮明にハッキリと聞き取れるようになった。


リビングはクーラーを作動させていないようだ。


開け放たれた入り口のドアから、そぉーっと顔を覗かせてみる。


この角度から見えたのは、ダイニングテーブルを囲んで楽しげに食事中の、小学校低学年くらいの子どもたち。


1、2、3……えっ、4人も?


小っちゃい子が沢山いるんだけど、みんな葉山くんの弟とか妹なのかな……?


その子たちは、見るからに美味しそうなから揚げやポテトフライを、次から次へと口に放り込んでいた。


見ているだけでよだれが出そうだ。


あぁ、いいなぁ。

あたしも食べたい……


「あの人、だーれ?」


と、子どもの1人に指を刺され、あたしは思わず顔を引っ込めた。


子どもとはいえ侮(あなど)るべからず、あっという間に見つかってしまった。


や、やばい。


なに隠れてんだあたし。


不法侵入みたいになっちゃったじゃん。


どうしよう、入りづらい。


そんなことを考えていたら、ドタドタと沢山の足音が迫ってくるのを感じ、次の瞬間。


あたしの目の前に、子どもたちが4人そろって現れた。


こ、これは心臓に悪い。


突然のことに驚きを隠せないあたしを取り囲み、子どもたちはキャッキャと好き勝手に喋りまくる。


「ちょ、ちょっと待ったっ。
1人ずつ喋ってくれないと分かんないよ」


あたしの言葉は、この子たちには届いていないみたい。


いきなりこんな状況になってしまって戸惑うけど、この子たちの態度は明らかに好意的でホッとした。


女の子3人に、男の子1人。


みんな同じくらいの年齢に見えるんだけど、まさか4つ子なんてことはないよね?

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