小さなキミと





結局、『あたしが服部に対してやらかしてしまった何か』については誰も教えてくれなかった。


誰一人口を割らないから、余計に気になって気になって仕方がなかった。


信じないかどうかはあたしが決めるんだから、教えてくれてもいいのに。



夕食をごちそうになった後、あたしたちは葉山くんの部屋に戻った。


順番にお風呂に入らせてもらってから、少しだけ勉強した後、みんなでゲームをした。


カードゲームやボードゲームで物を賭けたり、テレビゲームで対戦したりして、それはそれは盛り上がった。


葉山くんのお母さんが、ほどほどにしなさいと注意しに部屋までやって来たほどだ。


もう既に、これを勉強会と呼んでいいのか怪しくなってきていた。


そして夜中の0時を回った頃。

一番最初にダウンしたのは世良くんだった。


気づいたら彼は、部屋の隅っこで体育座りの姿勢で眠り込んでいたのだ。


気をきかせた葉山くんが、世良くんにタオルケットを掛けてから約1時間半が経ち。


現在時刻は、夜中の1時半を回ったところだ。


ついに、起きているのはあたしだけになってしまった。


あたしは深夜番組が流れていたテレビを切って明かりを消し、ゴロンと空いたスペースに横になる。


部屋に敷き詰められた布団が、ふかふかしていて心地よい。


猛暑の昼間と違って、夜は冷たい風が入ってきて結構涼しい。


鈴虫鳴き声と、みんなの寝息が重なって聞こえる。


修学旅行みたいだなぁと思った。



しばらく目をつむってゴロゴロしていたあたしだけど、待てど暮らせど眠気が来ない。


思いがけず4時間近く昼寝をしてしまっていたから、当然と言えば当然かもしれない。

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