小さなキミと
当分眠れそうにないな、こりゃ。
あたしは諦めて身体を起こし、みんなを踏まないように気を付けながらベランダへ出る大きな窓へと向かった。
風に当たって星でも眺めようかしら、なんて。
普段のあたしなら絶対に考えもしないようなことを、してみたくなったのだ。
ちょうどいいところにベランダ用のサンダルが置いてあったので、後ろめたさを感じつつも勝手に拝借した。
外に出ると、真っ先に涼しい風が肌を撫でてきた。
下ろした自分の長髪が、風に乗ってそよそよと揺れているのを感じる。
いつもとは違う景色が広がっている。
寝静まった住宅街は恐ろしいほどに静まり返っていて、ものすごく不気味だ。
ボンヤリと光る星たちの中で、ひときわ目立つ北極星を見つけた。
「きらきら、光る~。夜空の、星よ~」
思わず口ずさんでしまったヘタクソなメロディが、静かな闇に吸い込まれていくように感じた。
と、その時。
近くでガラッと窓の開く音がした。
ハッとして口を押さえ、音のした方に目をやると。
明かりが消えて真っ暗な隣の家の、2階の窓からにゅっと人影が現れた。
怒られる……!
一瞬身構えたあたしだったけれど、その誰かの正体が月明かりのおかげですぐに分かり、ホッと肩をなで下ろす。
あたしはその人物に近づこうと、ベランダの端までそっと駆け寄った。
「……服部?」
だろうなと思いつつも、一応形式として、あたしは尋ねる形で声をかける。
「……剛」
つぶやくように、服部はあたしの名前を言った。
あたしは諦めて身体を起こし、みんなを踏まないように気を付けながらベランダへ出る大きな窓へと向かった。
風に当たって星でも眺めようかしら、なんて。
普段のあたしなら絶対に考えもしないようなことを、してみたくなったのだ。
ちょうどいいところにベランダ用のサンダルが置いてあったので、後ろめたさを感じつつも勝手に拝借した。
外に出ると、真っ先に涼しい風が肌を撫でてきた。
下ろした自分の長髪が、風に乗ってそよそよと揺れているのを感じる。
いつもとは違う景色が広がっている。
寝静まった住宅街は恐ろしいほどに静まり返っていて、ものすごく不気味だ。
ボンヤリと光る星たちの中で、ひときわ目立つ北極星を見つけた。
「きらきら、光る~。夜空の、星よ~」
思わず口ずさんでしまったヘタクソなメロディが、静かな闇に吸い込まれていくように感じた。
と、その時。
近くでガラッと窓の開く音がした。
ハッとして口を押さえ、音のした方に目をやると。
明かりが消えて真っ暗な隣の家の、2階の窓からにゅっと人影が現れた。
怒られる……!
一瞬身構えたあたしだったけれど、その誰かの正体が月明かりのおかげですぐに分かり、ホッと肩をなで下ろす。
あたしはその人物に近づこうと、ベランダの端までそっと駆け寄った。
「……服部?」
だろうなと思いつつも、一応形式として、あたしは尋ねる形で声をかける。
「……剛」
つぶやくように、服部はあたしの名前を言った。