小さなキミと
・
・
・
その日のお昼休み。
例によって、結と日向が弁当を持ってあたしの席へとやって来た。
なぜあたしの席に集まるのかというと、前の席の八神がいつも昼休みに教室にいないからだ。
机とイスを借りられるので、席替えをしてからは、お昼はここが定位置になっている。
夏場に窓際の前から3番目という位置なのが、日差しがきつくてちょっと残念。
クーラーが効いてて快適だしカーテンもあるから、それくらい我慢できるけどね。
もうとっくに机の上を空けていたあたしは、イスから立ち上がって、八神が退くのを待った。
「八神まだぁー?」
いつもはサッサと退いてくれるのに、今日の八神はやたらとノロノロしている気がする。
そう思って急かすように声をかけた。
すると八神は身体を後ろに向け、「違うでしょ?」と言ってニヤリと笑う。
その顔を見てあたしは確信した。
コノヤロー、あの罰ゲームをやらせるために、わざとノロノロしてたんだな?
まったくもー、必要以上に名前を呼ばせようとして。
さっき1回試しに呼んだとき、思いっきり噴き出したくせに。
もー、ニヤニヤしやがってー。
性格悪いなコイツ。
名前で呼ぶまで退かないつもりか?
でも結たちも待ってるし、ここは腹をくくって……
「……ゆうっ」
思い切って、名前を呼んでみる。
男子を名前呼びにするなんて、あたしにとっては小学校以来だ。
なんか照れるんだけど。
「っていうかさぁ、や、じゃなくて有(ゆう)がそう呼べって言ったくせに固まんないでよっ」
バシンと、八神 有の頭を力いっぱい叩く。
せめて笑うなりしてほしい。
そんな、ビックリしたような顔をされると非常に困る。
・
・
その日のお昼休み。
例によって、結と日向が弁当を持ってあたしの席へとやって来た。
なぜあたしの席に集まるのかというと、前の席の八神がいつも昼休みに教室にいないからだ。
机とイスを借りられるので、席替えをしてからは、お昼はここが定位置になっている。
夏場に窓際の前から3番目という位置なのが、日差しがきつくてちょっと残念。
クーラーが効いてて快適だしカーテンもあるから、それくらい我慢できるけどね。
もうとっくに机の上を空けていたあたしは、イスから立ち上がって、八神が退くのを待った。
「八神まだぁー?」
いつもはサッサと退いてくれるのに、今日の八神はやたらとノロノロしている気がする。
そう思って急かすように声をかけた。
すると八神は身体を後ろに向け、「違うでしょ?」と言ってニヤリと笑う。
その顔を見てあたしは確信した。
コノヤロー、あの罰ゲームをやらせるために、わざとノロノロしてたんだな?
まったくもー、必要以上に名前を呼ばせようとして。
さっき1回試しに呼んだとき、思いっきり噴き出したくせに。
もー、ニヤニヤしやがってー。
性格悪いなコイツ。
名前で呼ぶまで退かないつもりか?
でも結たちも待ってるし、ここは腹をくくって……
「……ゆうっ」
思い切って、名前を呼んでみる。
男子を名前呼びにするなんて、あたしにとっては小学校以来だ。
なんか照れるんだけど。
「っていうかさぁ、や、じゃなくて有(ゆう)がそう呼べって言ったくせに固まんないでよっ」
バシンと、八神 有の頭を力いっぱい叩く。
せめて笑うなりしてほしい。
そんな、ビックリしたような顔をされると非常に困る。