小さなキミと
それにしても、二人乗りがこんなに距離が近いだなんて、知らなかった。
汗とか、シャンプーとか、柔軟剤とか。
彼の匂いがたくさん飛んで来て、どうも落ち着かない。
「つーか普通、自分とこの制服ぐらい、見たら分かんだろ。何だよ小学生って」
そんなあたしの気持ちは露知らず、呆れたように彼はそう言う。
「……えぇっ、っていうかキミも若南なの!?」
「反応おっそ。今、何時?」
あたしの驚きリアクションを軽くスルーした彼にムッとしつつも、手に持っていたケータイで時間を確認する。
「10時13分」
「マジ!? もう式始まってんじゃん。やべーッ」
ショックを受けた様子の彼に、今思いついた疑問を投げかけてみる。
「キミ、本当の本当に高校生? 飛び級とかしてて、実は10歳とか」
「んなわけねーだろ、アンタちょっと黙れッ」
怒られてしまった。
やっぱり彼があたしと同い年なのは確実のようだ。
そんなやり取りからややあって。
あたしたちの目的地、私立 若葉南(わかばみなみ)高等学校の大きな校舎が、前方左に姿を現した。
若南は周りが田んぼや畑に囲まれているので、遠くからでも確認できるのだ。
「あーっ、若南見えたよっ」
「分かってる」
あたしたちを乗せた赤い自転車は、左に曲がって桜通りを抜けた。
汗とか、シャンプーとか、柔軟剤とか。
彼の匂いがたくさん飛んで来て、どうも落ち着かない。
「つーか普通、自分とこの制服ぐらい、見たら分かんだろ。何だよ小学生って」
そんなあたしの気持ちは露知らず、呆れたように彼はそう言う。
「……えぇっ、っていうかキミも若南なの!?」
「反応おっそ。今、何時?」
あたしの驚きリアクションを軽くスルーした彼にムッとしつつも、手に持っていたケータイで時間を確認する。
「10時13分」
「マジ!? もう式始まってんじゃん。やべーッ」
ショックを受けた様子の彼に、今思いついた疑問を投げかけてみる。
「キミ、本当の本当に高校生? 飛び級とかしてて、実は10歳とか」
「んなわけねーだろ、アンタちょっと黙れッ」
怒られてしまった。
やっぱり彼があたしと同い年なのは確実のようだ。
そんなやり取りからややあって。
あたしたちの目的地、私立 若葉南(わかばみなみ)高等学校の大きな校舎が、前方左に姿を現した。
若南は周りが田んぼや畑に囲まれているので、遠くからでも確認できるのだ。
「あーっ、若南見えたよっ」
「分かってる」
あたしたちを乗せた赤い自転車は、左に曲がって桜通りを抜けた。