小さなキミと

厄介続き

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罰ゲームによって、あたしが八神有のことを“有”と呼び始めてから、そしてなぜか彼まであたしのことを“涼香”と呼び始めてから、ようやく1週間経った。


高校生になって以来、これほど厄介な出来事に苛(さいな)まれた週はない。


まず手始めに、あたしと八神が付き合ってるという噂が学校中を駆けめぐり、クラスメイト、顔見知り程度の同級生、誰だコイツっていう生徒や先輩、その他諸々からとっても迷惑な冷やかしを受けた。


実は有は、学校で知らない人がいないくらい、とても有名人だったのだ。


一番の要因はやっぱりあの高身長だったが、それに加えて有のお兄さんの影響もあった。


そのお兄さんは、あたしたちと同じ高校に通う3年生で、なんと前期生徒会長を務めている。


入学したてのころ、生徒会長の弟である有を目当てに、3年の先輩たちがよく1組のクラスを覗きに来たものだ。


ちなみにお兄さんもまずまずの長身だが、有よりも全然低い(180㎝前後だと有が言っていた)。




そして、お次はもっと最悪。


夏休み明けに行われる文化祭で、あたしはクラスでやる劇の主役に任命されてしまったのだった。


半ば強制的に、だ。


しかも、題材は『白雪姫』。


つまりあたしは白雪姫。


柄じゃないにもほどがある。


女子で1番背が高い、というただそれだけの理由だった。

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