小さなキミと
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大きくて立派な校門の前で、これまた大きくて立派に肥えた50代ぐらいのおっさんが1人。
物凄い形相で、腕を組んで仁王立ちしている。
おそらく若南の教師だと思われるそのおっさんは、目の前のあたしたちを交互に鋭く睨み付け────いきなり怒鳴った。
「お前らアホかッ」
二人してビクッと肩を震わせる。
「入学式に遅刻した上堂々と二人乗り、しかもお前なんかネクタイしてねぇじゃねーかッ」
「す、すみません……」
あたしは俯(うつむ)いて、スカートをギュッと握りしめた。
横目でチラッと隣を見ると、小さな彼は、沈んだ表情でどこか一点を見つめていた。
もう少し早くあたしが自転車から降りていれば、こんなことにはならなかったのに。
と少し申し訳ない気持ちになった。
「組と名前」
酒の飲みすぎなのかガラガラの声で、ぶっきらぼうにおっさんは言った。
組と名前を言えってこと?
事前にクラス分けのプリントをもらっていたから、自分のクラスは把握している。
「……1組の、剛(ごう)です。剛 涼香」
あたしに続けて、彼が言う。
「1組、服部 奏也(はっとり そうや)」
へぇ、この子服部っていうんだ。
服部トム・ソーヤ……
っていうか、同じクラスかよ!
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大きくて立派な校門の前で、これまた大きくて立派に肥えた50代ぐらいのおっさんが1人。
物凄い形相で、腕を組んで仁王立ちしている。
おそらく若南の教師だと思われるそのおっさんは、目の前のあたしたちを交互に鋭く睨み付け────いきなり怒鳴った。
「お前らアホかッ」
二人してビクッと肩を震わせる。
「入学式に遅刻した上堂々と二人乗り、しかもお前なんかネクタイしてねぇじゃねーかッ」
「す、すみません……」
あたしは俯(うつむ)いて、スカートをギュッと握りしめた。
横目でチラッと隣を見ると、小さな彼は、沈んだ表情でどこか一点を見つめていた。
もう少し早くあたしが自転車から降りていれば、こんなことにはならなかったのに。
と少し申し訳ない気持ちになった。
「組と名前」
酒の飲みすぎなのかガラガラの声で、ぶっきらぼうにおっさんは言った。
組と名前を言えってこと?
事前にクラス分けのプリントをもらっていたから、自分のクラスは把握している。
「……1組の、剛(ごう)です。剛 涼香」
あたしに続けて、彼が言う。
「1組、服部 奏也(はっとり そうや)」
へぇ、この子服部っていうんだ。
服部トム・ソーヤ……
っていうか、同じクラスかよ!