小さなキミと
実は訊いてくれるだけまだマシだった。


ある程度無関係の他クラス連中からは、一方的に冷やかされるのがほとんどなので、弁解のしようがないのが現状だ。


「なんで、ってこのクラスのヤツなら誰でも」


「あぁそうだったあたしが悪かった、ごめん今の忘れて」


服部の言葉を物理的に遮るように、あたしは両手を空でバタつかせて言った。


服部に八神との仲を弁解するなんて、押しつけがましいというか自意識過剰というか、とにかく嫌だった。


……のに。


「お前、八神の」


「わぁーーーーっ」


意味を持たない大声と両の手のオーバーリアクションで、服部の言葉を強引に切る。


止めてくれ、もうその話題は終わりだから!


服部にだけはそんなこと訊かれたくないし、答えたくもない。


当の服部は、あたしのリアクションを受けて若干怯(ひる)んだ様子で身を引き、遅れて耳を塞ぐポーズを取った。


「うるさいよお前、声デカいわ」


「そうだっ、追試って何時から?」


あたしは話を最初に戻す作戦に出た。


さぁ乗っかれ服部!


意図はバレバレだったと思うけど、服部は渋々といった様子で答えてくれた。


「……2時」


ブッたまげた。


話を戻すとか、もう色々どうでもよくなるぐらいに、服部の答えは緊急事態を告げていた。


「うっわーーーー、あと30分ちょっとしかないじゃんッ」


注意されたての大声、再び。


「うるせーッ」と今度は服部が叫んだ。


立っていたのが幸いし、着席姿勢の彼から鉄拳(?)を食らうことだけは避けられた。

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