小さなキミと
「へぇ~、あっそう。
服部くんがそんなことを、ねぇ~」


そう言って、チラリとこちらに視線を送る結。


ヤバい、これはちょっと……かなり恥ずかしい。


真っ赤になって俯くあたしにはお構いなしに、


遅れてやって来た日向も交え、3人は完全におちょくりモードに突入していた。


ニヤニヤしながら、内緒話風に会話を展開する彼女たち。


もう隠す気はないらしく、全てあたしに丸聞こえだった。



「それで、服部くん他にはなんて?」と結。


すると柴原は即答で「今日も可愛いねって」などとほざいた。


これは流石に黙っていられるはずもなく。


「おい柴原てめぇ適当なこと言ってんじゃねぇ!」


「わあショックっ、涼香ちゃんに呼び捨てされたぁ!」


言う割には楽しげな柴原なので、本当に傷ついたワケじゃないのは明らかだったのだが。


「うわー、柴原ちゃんカワイソウー」


「涼香クチ悪いー」


と外野の2人からブーイングを受ける。


ここにあたしの味方はいないのだった。


「で結局のところ、そういうことなんだよね?」


散々からかったくせに、シレッと素に戻った日向からの質問だった。


「あ……まあ、うん」


ポツリと答えた瞬間、キャーッと歓声が上がった。


歓声というか、もはや悲鳴だった。


あまりの騒々しさに、思わず身を引いてしまうくらいの。


そういうことになったのはいつなのか、どっちから告白したのか。


マシンガンのような勢いで同時に問いをぶつけまくってきた3人の言葉で、


かろうじて分かったのはそれだけだった。


柴原という女子は、想像異常に騒がしい部類の人間だったようだ。

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