小さなキミと
「……昨日放課後、向こうからっ」
端的に答えると、やかましい3人組はまたキャーキャー騒ぐ。
ここまで自分の事のように喜んでくれるのは嬉しいけれど、それにしてももう少し声のボリュームを考えてほしい。
「もっと詳しく!」とせっつく彼女たちに、
勘弁してくれと顔を背けた方向で、これまた厄介な視線とぶつかった。
「それホント?」
呆気にとられた様子の八神有に、こっちにも敵がいたか、とあたしは頭を抱えたくなった。
こうも多勢に無勢はキツイ……
正直、今は何食わぬ顔で前を向いていてほしかった。
会話を聞かれているにしても、後で1対1で冷やかされるほうがマシだった。
もしくは席を立つとかしてほしかった、なんて。
後から来たのは結たちの方だし、
こんなことを思うのは図々しいんだけど、思わずにはいられなかった。
有にまで説明しなきゃいけないのかあたしは……とさらに萎える。
その時ふと、有に関してのアレのことを思い出した。
「有、そいえば! あたし有の目薬を、」
ガチャガチャと筆箱を引っ掻き回し例の目薬を取り出したのと、
なんとも間の悪いことに、焦った様子の服部が割り込んできたのがほぼ同時だった。
お前余計なこと喋るなよ、と多分服部はこう言うつもりだったんだろう。
言葉は途中で終わってしまったので、最後までは聞けなかったが。
肩を掴まれ振り向いたあたし、その手には有の目薬。
もう有の方へそれを差し出してしまっていたから、自分のものだという言い訳も使えない。
掴んだ本人、服部はみるみる怪訝な顔になった。
端的に答えると、やかましい3人組はまたキャーキャー騒ぐ。
ここまで自分の事のように喜んでくれるのは嬉しいけれど、それにしてももう少し声のボリュームを考えてほしい。
「もっと詳しく!」とせっつく彼女たちに、
勘弁してくれと顔を背けた方向で、これまた厄介な視線とぶつかった。
「それホント?」
呆気にとられた様子の八神有に、こっちにも敵がいたか、とあたしは頭を抱えたくなった。
こうも多勢に無勢はキツイ……
正直、今は何食わぬ顔で前を向いていてほしかった。
会話を聞かれているにしても、後で1対1で冷やかされるほうがマシだった。
もしくは席を立つとかしてほしかった、なんて。
後から来たのは結たちの方だし、
こんなことを思うのは図々しいんだけど、思わずにはいられなかった。
有にまで説明しなきゃいけないのかあたしは……とさらに萎える。
その時ふと、有に関してのアレのことを思い出した。
「有、そいえば! あたし有の目薬を、」
ガチャガチャと筆箱を引っ掻き回し例の目薬を取り出したのと、
なんとも間の悪いことに、焦った様子の服部が割り込んできたのがほぼ同時だった。
お前余計なこと喋るなよ、と多分服部はこう言うつもりだったんだろう。
言葉は途中で終わってしまったので、最後までは聞けなかったが。
肩を掴まれ振り向いたあたし、その手には有の目薬。
もう有の方へそれを差し出してしまっていたから、自分のものだという言い訳も使えない。
掴んだ本人、服部はみるみる怪訝な顔になった。