小さなキミと
真夏の駆け引き
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服部との帰り道、
あたしは自転車を押しながら、彼と横並びに並んで歩いていた。
いつもは自転車で通り抜けるだけの、ただの田んぼだらけの田舎道だが、
隣に服部がいるだけで何だか素敵な景色に思えた。
とはいえ昨日は究極に腹ペコだったので、この道は服部なんぞお構いなしに、いつも通りのスピードで通り抜けたのだった。
今日は昨日と違って、会話ができる余裕がある。
最初は無難に部活の話から始まった。
練習はあんな事をしてきつかった、とかそういう当たり障りのない内容だ。
それがどう転んでか部内の色恋沙汰に変わり、結局朝の話題を蒸し返すに至った。
「じゃあ何、アンタあたしが泣いたことまで喋ったワケ!?」
「オレだって喋りたくて喋ったワケじゃねーし!」
既に喧嘩腰のかけ合いに発展していたあたしたちは、やはり相変わらずだった。
だけど前と違うのは、
「つーか、これで誰もお前のこと狙わなくなったからいーの!」
────服部がこんな台詞を平気で言うようになった。
「なっ、なにそれ! まるであたしがモテモテみたいに!」
「ああそーだよお前はもっと自覚しろバーカ!」
服部は、たじろぐあたしなんてお構いなしに畳みかける。
「だからすげームカついた! 吉岡とか……八神とか」
最後だけ、語気が弱かった。
吉岡とか八神とか。それってつまり、
「妬いてるの?」
「うるさいッ!」
即答で返事が返ってきた。しかも否定しない。
「やっぱ妬いてるー!」
顔を覗き込めば、服部は耳まで真っ赤だった。
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服部との帰り道、
あたしは自転車を押しながら、彼と横並びに並んで歩いていた。
いつもは自転車で通り抜けるだけの、ただの田んぼだらけの田舎道だが、
隣に服部がいるだけで何だか素敵な景色に思えた。
とはいえ昨日は究極に腹ペコだったので、この道は服部なんぞお構いなしに、いつも通りのスピードで通り抜けたのだった。
今日は昨日と違って、会話ができる余裕がある。
最初は無難に部活の話から始まった。
練習はあんな事をしてきつかった、とかそういう当たり障りのない内容だ。
それがどう転んでか部内の色恋沙汰に変わり、結局朝の話題を蒸し返すに至った。
「じゃあ何、アンタあたしが泣いたことまで喋ったワケ!?」
「オレだって喋りたくて喋ったワケじゃねーし!」
既に喧嘩腰のかけ合いに発展していたあたしたちは、やはり相変わらずだった。
だけど前と違うのは、
「つーか、これで誰もお前のこと狙わなくなったからいーの!」
────服部がこんな台詞を平気で言うようになった。
「なっ、なにそれ! まるであたしがモテモテみたいに!」
「ああそーだよお前はもっと自覚しろバーカ!」
服部は、たじろぐあたしなんてお構いなしに畳みかける。
「だからすげームカついた! 吉岡とか……八神とか」
最後だけ、語気が弱かった。
吉岡とか八神とか。それってつまり、
「妬いてるの?」
「うるさいッ!」
即答で返事が返ってきた。しかも否定しない。
「やっぱ妬いてるー!」
顔を覗き込めば、服部は耳まで真っ赤だった。