小さなキミと
「有の目薬を見られたくなかったのも、それつながりで有の話題になるのが嫌だったから。
っていうか、冷静に考えたらそれ見ただけで誰の持ち物かなんて分かるワケないよね。
名前が書いてあるワケじゃないんだし、あたしの目薬だって思うのが1番自然だし」


自分で言って、ふと考えた。


もしも服部に目薬を見つけられていたら、あたしは誤魔化して嘘ついて自分の物だと言って笑ったのだろうか、と。


違う、そうじゃない。


「ごめん今のナシ。有の目薬だっていうのは事実」


服部は、なぜあたしが謝ったのかよく分からないみたいだった。


でもそれはそれで良しとする。


「あのさ、じゃあ例えば。
全然何とも思ってない女子から『○○くんと私は何でもないから!』とか言われたら服部どう思う?」


我ながら良い例えだと思う。


結局はそういうことなのだ。


「……ちょっとウザいかも」


探るように服部は答えた。


「でしょー? じゃあもう1個。
スッゴイ大好きな異性から『君と○○ってお似合いだね』とか言われたら服部どう思う?」


「……えー?
そんなん分かんねーよ、だってオレ……」


服部はごにょごにょと口ごもり、「ずっと女嫌いだったし」と結んだ。


そうかー。服部にこの質問は効かないかー。


うん、よし。じゃあ言おう。


「今から超恥ずいこと言うよ。
あたしねぇ、服部にそれ言われたら泣いてたわ」

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