小さなキミと
「────え?」


服部が目をしばたたかせてこっちを見上げたので、あたしは反射で顔を背けた。


暗に、服部の事を『スッゴイ大好きな異性』にカテゴライズしたのだ。


恥ずかしいに決まってる。


「ここ最近、あたしいろんな人から『有とお似合いだね』って言われたけど。
服部だけには言われたくなかったから」


自分の頬がすこぶる熱い。


あたしは頭に乗っけてあったタオルで何となく顔を隠した。


「服部が……あたしのこと好きだって言ってくれて、本当嬉しかった。
あたし結構前から服部好きだったし」


と、滑り出た言葉に自分でビックリ。


うわあぁっ、何サラッと告白してんのあたし!


俯きすぎて、前が見えないくらいにタオルが視界に被さった。


でも顔を見られるよりはマシ。


隣は無言だ。


顔を隠してくれるタオルはありがたいが、おかげでこっちからも服部の顔が見えなくなった。


沈黙が、かゆい。


恥ずかしすぎてかゆい。


ダメだ沈黙気まず過ぎる、何か言おう、何を言おう。


と、あたしがもたもたしている内に先を越された。


「お前っ……あんまりそーゆう事、言うなよ外で……」


沈黙を切ったのは、何だかしどろもどろな服部の声だった。


タオルの端から覗いてみて……思わず笑ってしまった。


あたしたちって、本当に似た者同士だ。


服部もタオルで顔を隠していたのだから。


「お前笑った!? 今笑ったよな!
バカにしてんのか!」


多分勘違いをした服部が、いきなり大声で食ってかかって来た。

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