小さなキミと
立ちっぱなしで電車に揺られることおよそ30分で、目的の駅に到着した。


ここは都会の大きな駅なので降りる人も多く、あたしは人の波に流され服部から離れそうになった。


「こっち!」


すかさず手を掴まれ、強い力で引き寄せられる。


「……ありがと」


やっぱり前を見たままあたしを引っ張っていく服部の背中は、いつになく広く頼もしく見えた。




本当なら、この駅から予約したバスで遊園地まで直通の予定だった。


だけどあたしのせいで服部まで、近鉄バスを乗り換えて行く別のプランに変更することになった。


電車内でもそうだったけど、バス待ちの段になっても服部はご機嫌斜めな顔だった。


話しかけても会話は続かない、まともに目も合わない。


あたしへの気遣いは一応感じるけれど、それにしても相当怒っていらっしゃる。


「……服部さーん。あのぉ、どうしたら許してくれます?」


服部がギロリとこっちを睨み上げた(ように見えた)ので、あたしは思わず肩を竦(すく)めた。


「そ、そーだ服部ノド乾いてない?
今暇だしあたしジュースでも買って」


「いらん」


服部に逃げ道をバッサリ切られて口をつぐむ。


「……じゃあどうしたら機嫌直る?」


あたしが訊くと、服部は「べっつに機嫌悪くねーし」と答えた。


どこからどう聞いても不機嫌な様子で。


「だってまだ怒ってるじゃん。あたし何回もごめんって言ってるのに」


「怒ってねぇよ!」


「ほら怒ってる!」


服部が怒鳴ったので、あたしも怒鳴った。

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